<春季愛知県優勝大会:日本福祉大付1―0高蔵寺>◇20日◇2回戦◇小牧市民球場
この春、県内で最も注目されている存在と言っていい高蔵寺。150キロに届くのではないかと言われている芹澤 大地投手(3年)の存在が大きい。高校野球の専門誌でも大きく取り上げられ、U-18高校日本代表候補のメンバーとして、公立校の選手では唯一選ばれてもいる。その合宿に参加して、同世代のさらに高いレベルと意識の選手たちに会って一緒に練習にも参加したことで、刺激も貰ったようだ。
前日の安城との1回戦では7イニングを投げて、最速149キロを表示したということでも話題にもなった。果たして、夏までにどれだけ伸びていくのか目が離せない。
その芹澤投手を擁す高蔵寺に立ち向かうのが、日本福祉大付だ。今春は知多地区の一次トーナメントで東海南に敗れたことで、敗者復活トーナメントに回り、そこから大府東、阿久比、東浦、知多翔洋を下しても何とか3位校として進出してきた。
1回戦では、尾張地区で愛知啓成を倒すなどして勢いに乗っていた新川に11対0と5回コールド勝ちしている。神村学園(鹿児島)を、何度も甲子園へ導いた実績もある山本 常夫監督が、どんな策を立てて好投手に挑んでくるのかも注目された。日本福祉大付は芹澤対策としてマシンを150キロに設定。さらには徹底したバスター打法で振りをコンパクトにしていくという作戦で挑んできた。そして、冬の間に徹底して磨いてきたという、アグレッシブに次の塁を狙って行く姿勢を示す走塁で何とかかき回していきたいという思惑だ。
それでも、芹澤投手は、臆せず淡々と自分の投球をしていく。スピードのある投手で注目度も高いので、剛腕タイプかと思われがちだが、しなやかな快腕というタイプだ。しかも、多くのメディアなどに注目されながらも、普段と変わらない状態で過ごし、いわばしっかりとマイペースを保って行っているという様子だ。高蔵寺を進路として選択したのも、中学時代から一緒にバッテリーを組んでやってきた大坂 幸平捕手(3年)に誘われたので、地元でもあり、公立校に進学したということである。
だから、これだけ騒がれるようになっても、ガツガツしたところはない。それは河原 仁監督も同じで、「特に意識はしていません。マイペースは崩していないし、私もそれを見つめているという状態です。ただ、周囲がこれだけ騒いで注目していてくれるので、その期待にはある程度は応えていかないといけないとは思います」と、冷静に捉えている。
試合は、5回まで0対0。日本福祉大付は1安打のみで7三振。高蔵寺も日本福祉大付の神谷 武蔵投手(3年)のキレのいい球をとらえきれず、四球は一つあったが安打1本のみ。その走者も牽制死や併殺などでイニングを3人ずつで終えていた。
6回、日本福祉大付は9番の宇井 漣丸主将(3年)が執念の安打を放つと、果敢な走塁で失策も誘い無死二塁。続く1番の田中 空選手(3年)のバントも失策を誘発。無死一、三塁となり、その後に内野ゴロGOで三走がかえって貴重な1点を奪い取った。
芹澤投手は、この日は球速表示としては最速が146キロ。9回でも145キロを表示していた。被安打は2で11三振を奪いながらも、6回の唯一の失点で敗戦となった。
ワンチャンスを生かした形の日本福祉大付の山本監督は、「冬の間にきっちりとやってきた、練習の成果も出たかなと思います。これだけの投手は、そんなに打ち込めません。ウチとしては、これしかないという勝ち方でした」と、満面の笑みを示していた。そして、「いつもは投げてみないとわからん神谷が、今日はよう投げた。これも勝因やね」と、神谷投手の4安打完封も高く評価していた。
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