<春季東京都高等学校野球大会:早稲田実12-0大東大一(7回コールド)>◇20日◇4回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
大東大一のエース・辻井 晴斗(3年)は、岩倉を失点1に抑えて破るなど、今大会評価を高めている左腕だ。大東大一は辻井を中心に勢いに乗っているが、早稲田実は、この春のエース・小俣 颯汰(2年)の好投と、本来のエース・中村 心大(3年)らの打力で大東大一を圧倒した。
早稲田実の和泉 実監督は、「すごい球を投げていた」と大東大一の辻井について語る。エンジンがかかると苦しくなるだけに、序盤の攻撃がカギとなる。その意味で大きかったのは、1回表二死二塁から、今大会は背番号9で出塁している4番の中村の二塁打で、1点を先制したことだった。
さらに早稲田実は、2回表に6番・山中 晴翔捕手(3年)が本塁打を放ち1点を追加。さらに一死三塁の場面では、9番・五木 正剛内野手(3年)がスクイズを決めるなど、手堅く加点をした。
4回表には、大東大一に守備のミスが続いて早稲田実が2点を追加する。左腕の辻井を好守で支えて勝ち上がってきた大東大一としては、守りが乱れては、勝ち目がなくなる。5回表には途中出場の白仁田 航志外野手(2年)の本塁打などで4点を追加。7回表には、4番・中村がこの試合2本目となる二塁打を放ち3点を追加した。
一方、この春、背番号1で出場している小俣は、3回まで1人の走者も出さないパーフェクトピッチング。4回裏にこの回先頭の1番・山本 煌太外野手(2年)に左前安打を打たれた。けれども小俣は、「うまく行き過ぎると怖くなる。1本打たれるのは、これが普通。むしろ落ち着きました」と言う。
小俣はテンポの良い投球で、大東大一に付け入るスキを与えない。結局6回を投げて、球数60、被安打1、四死球0という危なげのない投球であった。7回裏は田中 孝太郎(2年)が登板。四球と失策の走者を出したものの無失点に抑え、早稲田実が12―0、7回コールドで大東大一を破った。
6回1安打の好投の小俣は、秋季都大会ではベンチにすら入っていなかった。小俣は昨年の6月に肩を痛めたことをきっかけにフォームを崩し、「フォームが分からない時期がありました」と小俣は言う。その後、考えながら試行錯誤を続け、フォームを固め、紅白戦などでも好投し、センバツの出場にこぎつけた。和泉監督は小俣について、「球に力があり、キレもある。中村の今頃の時期と比べても、いいものを持っているなと感じます」と語る。
この春は背番号1の小俣だが、夏も背番号1で臨もうという気は毛頭ない。「1番は中村さんがつけておくべき番号です」と小俣は言う。それでも、秋までは中村頼みだった早稲田実投手陣の層が厚くなったことは確かで、暑さ厳しい夏の戦いに向けても、視界は良好といったところだ。
なお早稲田実は準々決勝で日大三と対戦する。昨年の夏の西東京大会の決勝戦の再戦であり、伝統のライバル校対決は注目だ。
一方敗れた大東大一の宮城 智行監督は、「今までなら振ってくれたボールを振ってくれず、カウントを取りに行ったボールを打たれました。細かいところの精度にこだわらないといけないと、実感しました」と語る。これまでなら、そこまで気にしなくても、といったところをしっかり対応しないと、強豪校はそこを突いてくる。それを経験できたことは、大きな収穫であり、より高いレベルを目指して、夏に挑むことになる。
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