誰もが使いやすい1本に

バットの広範囲で柔らかい打感を実現したVKONGWR。これで開発のベースだった、ホームランを打つための機能は実現出来た。次はどの選手でも体現するための使いやすさだ。

そこに関わるのが、先述した振りバランスというわけだ。
BLASTという計測機器や、MIZUNO BIOS(ミズノ バイオス)というバット選択システムがありますので、そこで選手のスイングを分析しますけど、振り軽いバランスにボリュームがある感覚がしています。
ボールをしっかり捉えたいという思いからだと思うので、そこを予想してWRは振り抜きやすい設計にしています」

またグリップについても、妥協をしなかった。
「選手たちが一番求めているグリップを実現するため、弊社のなかで最も滑りにくい『ベタグリ』というシリーズの茶色のグリップテープを最初から巻いています。(カタログ定番品の硬式金属バットとしては)初めての試みでしたけど、根強い人気のグリップテープということで、採用しました」

こうして誰もが扱いやすい。そして飛ばしやすいバット、VKONGWRが完成した。

勝利を掴むために

従来よりスピード感をあげた商品開発サイクルで完成したVKONGWR。生みの親である竹内さんは「ゼロからのスタートで本当に短期間でしたが、おかげでいろんなことを学べた」と開発期間を振り返る。とはいえ、まだ就任したばかり。今後も選手たちのために、より良いバットをつくり出す意欲は十分だ。

「新基準バットに変わって、選手たちはよりシビアな感覚で自分に合うバットを探すようになりました。でも今までもそうであったように選手たちは日々考えながら練習を積むことでレベルを上げ、この新たな基準にも順応してくるのだと思います。なので、こちらは先手を打ち続けて、選手たちのレベルに合ったバットをどんどん開発したいと思っています」

こうした思いがあったから、今回のVKONGWRは完成したのだろう。この春から全国各地で使われることを願い、竹内さんは最後にこんなメッセージを残した。

「高校野球というわずかな期間で少しでもレベルアップを遂げて最高の高校生活、野球人生を送っていただく。それが一番ですので、VKONGの名前の由来であるビクトリー(Victory)を掴みたい選手たちにこそ、この1本を使ってほしいです」

Vの本気が詰まったVKONGWR。高校野球界にどんな影響を及ぼすのか。球場で見かける瞬間を1つの楽しみにしたい。