新基準バット導入1年目で聞こえた声

2024年に導入された新基準バット。これまでのバットとの大きな変更点は以下の2点。

・バットの最大径が67ミリから64ミリに細くなる
・打球部の金属自体の厚みがこれまでより1ミリほど厚くなる

結果、ボールにバットを当てにくくなり、飛びにくくなった。センバツの柵越えは2本、夏の甲子園は7本に終わったのが、何よりの証拠だろう。

実際に数多くのチーム、球児たちに取材をしていても「初速が遅くなった気がする」という声をはじめ、数多くの意見を聞いた。それを踏まえて戦い方、練習法を変えるチームを多く見てきた。なかには「金属バットよりも飛ばせる気がする」、「スイートスポット(=真芯部分)が狭くなったように感じる」という理由から木製バットを使う選手もが増えたことも大きな変化だ。

持てる力をすべて注ぎ込んだベストな1本

この変化に、「球が失速することをよく聞きますので、その課題をバットで少しでも改善出来たらというところです」と強い責任感をもって新基準バットと向き合っている男がいる。

バットの企画開発を担っているミズノの竹内優騎さんだ。
「やりがいの反面、不安も大きかった」とプレッシャーを背負いながら、日々球児のために新たなバットを開発している。そのなかで誕生したのが、3月から発売するVKONGWRである。

「一番の特徴は、スイートエリアが他のバットに比べてワイドレンジ(Wide Range)、広いことです。新基準バットになってから細くなって飛びにくくなったことで、小さく動く変化球に対して、芯を外されて打球が失速する。ゴロになってしまうことが見受けられたので、スイートエリアを広げることで、多少芯が外れても飛びやすくしています。なので、バッティングに自信がない選手はもちろん、トップレベルの選手たちもどんどん使ってもらえたらと思っています」

他にも振り抜きやすさ、打球音の2つも大事にしているのが、今回のWRならではの特徴だと竹内さんは語る。
「ユーザーに話を聞くと、振り抜き・操作性の良さや打球音がバット選びに影響していることがわかりました。なので、打球音については高めの打球音に定評があるVKONGECと同じキャップを採用。出来るだけ良い音が響くようにしています。振りバランスも、多くのユーザーが扱いやすいミドルバランスを採用しました。おかげで試し打ちに協力してくれた選手たちの半数以上が、VKONGWRの特長を高く評価していただけたので、自信はあります」

ミズノの持てる力をフル活用し、とにかく求められるスペックを搭載した。ほぼ最適な一本といっても過言ではないのだ。

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