<2025年全国高等学校野球選手権東東京大会:東京成徳大高11-2国学院(7回コールド)>◇13日◇3回戦◇江戸川区球場

 東京成徳大高は、2022年、23年と続けてシード校になり、この夏はシード校にこそならなかったものの、春季都大会は3回戦に進出しており、シード校に準ずる力を持っている。今大会初戦となる国学院戦は11―2の7回コールドで圧勝した。この試合で活躍が光ったのは、背番号9ながらも先発登板し、猛暑の中、7回を投げ切った高木 太陽(3年)だ。試合後、高木は満面の笑顔で、「楽しかったです」と語った。高木は7回を被安打7、三振6、四死球で、失点は2だった。

 高木は、高校に入ってから本格的に投手を始めたのは、この大会の、ほんの1か月ほど前で、春季都大会は三塁手であった。もっとも中学生の時(練馬シニア)では、投手の経験もある。エースの上野 陸(3年)の負担を軽くするためにも、必要な存在であった。

 高校に入って経験する初めての公式戦のマウンド。「緊張しました」と高木。1回表は、いきなり先頭打者を四球で歩かせたが、何とか後続を抑えて、この回無失点。するとその裏、東京成徳大高は、1点を先制。国学院の先発は、背番号は2で下手投げの竹内 陽登(3年)だが、東京成徳大高は春季都大会の2回戦で、聖パウロ学園の下手投げの好投手・大久保 勇志(3年)を打ち込んでおり、「アンダースローに対して、嫌な印象はないです」と、東京成徳大高の森田 正裕監督は語る。

 実際に2回裏は、1番・高島 勇気外野手(3年)の二塁打に、2番・小倉 想純内野手(3年)、3番・角谷 朝陽外野手(3年)の連続安打などで4点を挙げる。

 こうしたリードを受けて、高木も落ち着きを取り戻す。5回、6回は連打を浴びたが、それぞれ1点に止めた。すると東京成徳大高は、4回、5回に各1点、6回に4点を入れて試合を決め、7回コールドが成立した。

 高木にとっては、わずか1か月前に本格的に始めた投手であるが、「野球人生において、選択肢が増え増した」と、語る。

 高木は投手のほかにも、内野手も外野手もこなす。チームにとっても、選択肢が広がる1勝であった。