<2025年全国高等学校野球選手権香川大会:高松商11×1高瀬>◇12日◇2回戦◇レクザムボールパーク丸亀

 最終スコアだけ見れば春夏連続甲子園を目指す第2シード・高松商が高瀬相手に貫録を見せた形。が、内容を精査すれば4回までは1対1。高松商・長尾 健司監督が「初戦で硬くなっていたところに、序盤は打線が変化球狙いのところで突っ込んでしまった」と振り返ったように、打棒は多彩な変化球を110キロ台でそろえてきた高瀬の先発右腕・好川 昌太投手(3年)の前に4回までは4安打1得点と沈黙の時間が続いた。

 加えて高松商は投げてもエース右腕の末包 旬希投手(3年)が3回までは自己最速143キロをマークし9人を完璧に抑えながら「打たせて取ろうと思っていたらボールが高めに浮いてしまった」と、4回表には先頭打者に初安打を許した。さらには一死二塁から高瀬の3番・森 虎次郎外野手(3年)に同点適時打を浴びることに。気付けば高松商は初戦の鬼門に足を踏み入れてしまっていた。

 そんな高松商の窮地を救ったのはセンバツでの背番号「15」から5月末には4番を奪い取った河田 健汰外野手(2年)である。「最初はびっくりしたし、プレッシャーはあった」と4番指名を受けた本音を明かした河田だが「後ろにはいい打者がいるので回すだけ」とすぐに自分の持ち味を出すことに専念した。

 この試合でもまず初回二死一塁からアウトコース低めのストレートに巧く反応し、三塁線に落とす先制三塁打を放つと、5回裏には相手投手ボークで1点を勝ち越した一死二・三塁からはインコース低めのカーブを引っ張りこんで試合の流れを決定付ける右越二点三塁打。「ボールを捉える力があるので外野フライが打てるし、4番の自覚もちょっとずつ出てきて、腹が座ったバッティングになってきた」と指揮官を喜ばせた。

 この日は、3球団のNPBスカウト陣が訪れていたが、お目当ての最速152キロ右腕・髙橋 友春投手(3年)をはじめ、2回戦で登板を予定していた投手たちの出場が叶わなかった。課題は残した中でも、「つなぐために低い打球を打つことを意識している」と話す河田の3打数2安打4打点により最優先事項の3回戦進出を決めた高松商。春夏連続甲子園、そして宿敵・英明の3連覇を阻んでの3年ぶり夏の聖地到達には「つなぐ」4番の躍動がますます必要不可欠となってくるだろう。