<令和7年 春季関東地区高校野球 埼玉県大会:本庄第一6-0昌平>◇25日◇1回戦◇熊谷運動公園野球場
昨夏県準優勝の昌平。高校通算40本塁打のスラッガー・櫻井 ユウヤ内野手と、身長194センチの144キロ右腕・東川 一真投手(3年)がプロ志望の逸材として注目されている。この試合、多くのNPB球団のスカウトの姿がネット裏に見られた。
東川は社会人野球まで大型内野手として活躍した一成氏(桐蔭学園-日本体育大-鷺宮製作所)を父に持ち、190センチの父に受け継ぐように長身投手へ成長。中学時代は名門・世田谷西シニアでプレーし、渡邉 颯人投手(智弁和歌山)とダブルエースとして活躍した。
昌平では左投手として活躍した小林 弘明部長(きらやか銀行)のもとで成長し、今大会から背番号1を背負うことになった。初戦となったこの試合で先発を任されたが、苦しい試合に。直球主体の投球で2回無失点だったが、3回表に捕まる。先頭打者に内野安打とエラーで無死二塁のピンチを招き、そこから制球を崩し、押し出し死球2つ、適時打、走者一掃の三塁打。2.2回を投げて、6失点で降板となった。45球、3死球、2奪三振。チームは0対6で完封負けを喫し、「この試合は全て自分の責任です。本当にチームのみんなに申し訳ないです」と悔やんだ。
ストレートの球威を見ると、そこまで悪くはなかった。ストレートは最速140キロ・平均球速136.75キロと、昨秋の県大会よりは130キロ後半の速球を投げる頻度は上がっている。一方で変化球は120キロ後半のスピードのあるカーブ、フォークを投げ込んでいたが、まだカウント球、決め球で使えるレベルにはないため、直球主体の投球だった。本庄第一打線に直球を狙い打たれが、東川を指導してきた小林部長はこう語る。
「もともと制球に関してはどうなるか分からないところからのスタートでした。少しずつまとまってきています。変化球よりもちゃんとしたストレートを投げる方針にしています。ここから出力を高めて140キロ後半まで投げられて、その上で1球種でもカウントを取れる変化球を習得していければと思います」
東川は自身の投球を振り返って、「直球狙いでも打たれないストレートを投げたいですし、変化球のコントロールも夏までに高めていきたい。練習試合ではストレートで圧倒できる試合もありましたが、今日のように乱れる試合もありましたので、夏へ向けて改善していきたい」と課題を語った。
投手としての基礎を少しずつ学んでいる東川。ドラフト候補に挙がる高校生投手は結果だけではなく、スケールの大きさを感じさせる投球内容も求められる。安易に変化球に走らず、直球をまず磨く東川の方針は間違っていない。
スラッガー・櫻井は高校通算40本塁打のうち33本塁打が新基準バットで放ったもので、パワーは高校生野手の中でも上位の評価だ。
打撃結果を振り返ると、第1打席はライトフライ、第2打席はショートゴロ、第3打席は死球、第4打席はセンターフライ。3打数0安打だった。櫻井は「この日は体が突っ込んで、バットの出が遅くなってしまいました」と反省する。凡打になっても、滞空時間の長いフライを打つあたり、インパクトの強さは非凡なものをもっているが、最後まで強い打球を打ち返せずに終わった。
一方で三塁の守備は昨秋よりも上達している。この日は3度の打球が飛んで、無失策だった。打球の処理も落ち着いていて、スローイングもかなり力強い。櫻井は「この冬にスローイングが改善できたのが大きいと思います。練習を重ねて、スローイングに自信が持てるようになったことで、捕球をしっかりとすれば大丈夫と思うようになりました」と守備のレベルアップに手応えを感じている。
夏もプロ注目のスラッガーとして打撃内容が注目される。
「これから本塁打を多く打てた時期と違って、気持ちいい感じで打席に入れることはないと思っています。勝負は際どいコースは増えるし、四球、死球も多くなる。そこで打撃を崩さず、塁に出れば走塁で仕掛けるなど、そういったところを見せたい」
チームとしては初戦敗退に終わり、2人の結果としては芳しいものではなかったが、秋から内容を見ると、一歩ずつ成長は見えた。
高卒プロ志望の選手は夏の結果が大事と言われる。地道にレベルアップし、夏では2人の逆襲を期待したい。
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