<令和7年 春季関東地区高校野球 埼玉県大会:川越東8-1ふじみ野 (7回コールド)>◇24日◇1回戦◇所沢航空記念野球場
「高校野球っぽくない指導者を目指している」
とは川越東・岡田 稔基新監督の言葉。
今回はまず岡田監督の球歴や人となりについて説明したい。
岡田監督は川越東野球部OBで高梨 雄平投手の一学年下である。当時は元プロの阿井 英二郎監督。早稲田大へ進学し、在学中に学生監督を務める。その後は日立製作所でコンディショニングを担当したのち、新潟産大付でもコーチとして指導。父親が他界したこともあり現在は米農家として実家を手伝いながら、母校の監督、そして英語教師として教壇に立つ。言わば三足の草鞋を履いている。
試合は川越東が初回、先頭・中島 都亜(3年)の二塁打を足がかりとし、鈴木 優雅(3年)のタイムリーで1点を先制、2回には中島 星智貴(3年)の長短打などで一挙4点を奪い試合の流れを完全に掴む。
3回には柳 賢心(3年)、関口 卓心(3年)の連打に笠原淑仁(3年)、中島の連続長短打を絡め3点を奪いコールドペースへ持ち込む。
投げては先発・直井 琉星(2年)が4回無失点。その後も森下 颯(3年)、武田 晴哉(3年)、古沢 優翔(2年)と3投手の継投でふじみ野打線を1点で抑える。
結局、川越東が7回コールドでふじみ野を下し、コールドで県初戦を突破した。
試合後、岡田監督に改めて試合の振り返りと監督としての価値観について聞いた。
「あくまで現時点でベストな20人で。今日は相手投手に対し、私が指示を出す前に選手達で話していたので任せました。フォームなどは基本的には任せているが、原理原則として相手投手のラインに合わせて面で捉える。基本はライナー。とにかくやって来たことしか出せないので、とにかくそれを突き詰めること」
とのこと。その考え方に至った経緯については
「これまで高校・大学・社会人と勝てたチームにも勝てなかったチームにもいたことがあり、その違いが何かを考えた時に主体性があるかどうかと感じている。集団の中にいて噛み合う瞬間がある。それを求めながらやっています。新潟産大付にいた時などはその感覚を味わえた」
と語る。母校の監督をすることへのプレッシャーに関しては
「母校の監督のプレッシャーはない。高校時代、阿井先生にも言われてましたが『勝負はグラウンドに立った時点で決まっている。日々の練習やそれ以外の時間の過ごし方がグラウンドに出る』ので、ここではやるべきことをやるだけです。目先の1勝より生徒の主体性が芽生える瞬間が積み重なっての勝利を目指している。阿井先生には『ノビノビやれ』と、兄のような存在の高梨さんには『頑張れよ』と言われました」
と、腹は据わっており、恩師や先輩からの一言は励みになるはずだ。また、米作りと野球にも共通点はあると岡田監督は言う。
「現在は3町の田んぼを引き継いでコシヒカリと彩のきずなを作っています。この状況でも勝てるっていうことを証明したい。そのためには選手達の主体性がないとピースが噛み合わない。選手達も状況は理解しているので。お米も野球も土壌が大事。みんな稲刈りとか田植えとかを良い機械を使って見栄え良くやろうとするんですが、土壌がしっかりしていなかったら実っているようでも粒が小さかったり。それは野球も同じ」
と熱く語る新米監督の挑戦は始まったばかりだ。
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