【春季愛知県大会】明るく元気な野球で、津島が岡崎城西を振り切る
3点目のホームインした工藤を明るく迎える津島ベンチ
<春季愛知県高校野球大会:津島3-1岡崎城西>◇14日◇1回戦◇豊橋市民
前日13日に開幕した春季愛知県大会は、この日1回戦の残り試合と2回戦が行われた。
岡崎城西は西三河地区予選では、敗者復活の順位決定トーナメントから勝ち上がってきた。津島は、尾張地区決勝トーナメントへ進み、強豪・愛知黎明を下すなどしての出場である。昨年秋にも、秋季大会後の全尾張大会予選では愛知啓成を下している。こうした、力のある私立校に競り勝っていけたということは、チームとしては間違いなく自信になっている。
この試合、似たような力同士の対決となり、岡崎城西は永田 航大投手(3年)、津島は西尾 友志投手(3年)と両先発投手の投げ合いとなっていった。どちらも、驚くような球威やスピードがあるというワケではないが、制球に気をつけながら、それぞれの持ち味を出しながら、いい投手戦を展開していった。ことに、津島の西尾投手は低めへのコントロールを意識した投球で、丁寧に投げていたという印象だった。
津島の谷山和広監督は、「西尾は、いくらか調子を崩していて、必ずしも万全ではない状態だったんですけれども、よく投げてくれた。常々、エースは自分の調子が悪い時でも、悪い時なりに投げられるようにならないといけないということは言ってきているのだけれど、それを実行してくれた」と西尾投手の粘りの投球、踏ん張りを評価していた。
津島は初回、安打で出た2番・橋本 誠斗内野手(3年)が盗塁と失策などで1死満塁となったところで、暴投で生還し先制。岡崎城西は3回、2死一、二塁から、5番・永谷 朝希内野手(3年)が適時打を放って同点となる。
1点をめぐる戦いのまま迎えた5回。岡崎城西は1番からの好打順だったが生かしきれなかった。その裏、津島は先頭の7番・福谷 真吾外野手(2年)が中前打で出塁すると、バントで二塁へ進む。2死となってから、主将で1番の山崎 真輝外野手(3年)が、勝負強く中前へはじき返して、二塁走者がヘッドスライディングで生還した。さらに、6回にも同じように2死二塁から、今度は6番・伊藤 颯祐内野手(3年)が左前へ適時打を放って貴重な3点目が入った。
このリードを津島の西尾投手は粘り強い投球で7回以降は0に抑えていった。
試合後は、山崎主将が谷山監督にウイニングボールを届けにやってきた。この球は、最後の打球、難しい飛球となったが左翼手の山崎が懸命に走り、フェンスを怖がらずに好捕して得たものでもあった。谷山監督は津島へ赴任して6年目ということだが、実は県大会では勝ったことがなかったので、公式戦県大会初勝利ということにもなって、それを気遣った山崎主将が届けに来たということだった。「本当によく気の利くヤツで、気配りができるし、じゃんけんなんかでも相手の眼を見て何を出すかを読んで、じゃんけんも強いんです。守りの位置なんかも、レフトから皆に指示を出して、思い切ったポジション取りなどもしています。そういう気の付く子でもあるんです」と、嬉しそうだった。そして、谷山監督はウイニングボールを大事にバッグにしまい込んでいた。
その山崎は、この試合では5回に決勝打も放つなど、まさに流れを作って、最後を締めたといっていいであろう。「明るく楽しく野球をやろう」というのがチームのモットーでもあるというが、それが十分に表されていた。
岡崎城西としては3回、いい形で追いついたが、その後は西尾投手の上手さに交わされて、三塁まで走者を進めることもできなかった。永田投手もよく投げていただけに、打線がもう工夫、何とかしてあげたかったところであろう。