試合レポート

【春季東京都大会】國學院久我山が昨秋ベスト4の日大二をねじ伏せる

2024.04.05


國學院久我山・内田開音君

<春季東京都高校野球大会:國學院久我山8-2日大二>◇4日◇2回戦◇コトブキヤST立川

日大二は、昨秋の東京都大会では、初戦で青山学院にコールド勝ちすると、佼成学園をタイブレークで下し、明大中野にも5回コールド勝ち。そして準々決勝では優勝候補筆頭とも言われていた二松学舎大附にも延長12回のタイブレークの末に下してベスト4に進出。準決勝では創価に敗れたものの、旋風として注目された。1週間に2日練習休みの日を設けるという方針も画期的だった。前任の田中吉樹監督の実績を引き継いで就任した、教え子でもある齊藤寛文監督の打ち出した方針は「今の時代の新しい高校野球の取り組み」ということでも話題となった。

國學院久我山は昨秋、ブロック予選代表決定戦で国士舘に敗れ、本大会出場を逃している。従って、今春はブロック予選からの登場となったが、2試合2ケタ得点で大勝して本大会進出を果たしている。1回戦では、昨夏の甲子園出場校の共栄学園を下して、強さを示した。

國學院久我山は一昨年の2022年センバツでは高知(高知)、星稜(石川)などを下してベスト4に進出。あのイチロー氏が指導に来たということもあって話題にもなった。また、尾崎直輝監督は、そのイチロー氏の指導で歩き方を含めて選手たちに伝えていって浸透させていっている。

大学付属校同士でもあるが、ともに系列大学だけではなく、他校への受験も積極的に指導していくというスタイルでも似ているともいえる。都内の私立進学校としても、人気校といえる存在同士とも言っていいであろう。

質の高い好勝負が期待された試合は、2回に國學院久我山が先制して動き出す。

國學院久我山は2回に8番・樺山 幸弥内野手(3年)の左越え二塁打から、連続四球などで2死満塁として、中澤 隆将内野手(2年)、矢野 丈太郎外野手(3年)の連続二塁打で、日大二鈴木 勝也投手(3年)を捉えて3点を奪う。

反撃する日大二も3回に2死二塁から、1番・樋口 結外野手(3年)の右中間三塁打で1点を返す。さらに四球で塁を埋めたが、得点はならなかった。

國學院久我山は、5回にも1死から4番・原 隆太朗捕手(3年)、柳本 晴投手(2年)の連続二塁打など、3連打と失策、暴投でさらに3点を追加。各打者の思い切りのいいスイングも光った。8回、9回にも日大二宮村 笑琥投手(2年)、近石 颯真投手(3年)から1点ずつを追加している。國學院久我山はこのチームが、どうして昨秋は本大会に進出できなかったのだろうか、と思わせる力強さ、逞しさ、そして元気のよさがあった。

尾崎監督は、「秋の負けが、選手たちの気持ちを刺激して大きく成長させたのではないか」とも見ている。また、先発して好投した 内田 開音投手(2年)に関しては、「今までは、主に中継ぎで使っていたのですが、本人も先発がやりたいということで起用した。期待に応えてくれて、これでまた1人、投手の柱になれる存在が出てきた」と頼もしく見つめていた。そして、他の投手が台頭してきたことで、1番をつけている柳本投手は投げないときは5番打者として打撃に専念することもできる。「一冬越えて、成長を実感させてくれている」と、尾崎監督は目を細める。

選手たちは、気合を表そうと、センバツで優勝した健大高崎(群馬)にあやかって、今の時代に逆らうかのように丸刈りをさらに刈ってきて試合に臨んだ。練習Tシャツに書かれている「闘」の気持ちを内面だけではなく面にも出しているということである。

日大二にとっては、まさかの展開になってしまった。齊藤監督は國學院久我山の力強いスイングに脱帽していたが、試合の流れとして特に大きなポイントとして挙げたのは追い上げかかった4回の場面だった。1死三塁というところで、期待の細野 龍之介投手(3年)が引っ掛けた内野ゴロで走者をかえせなかった場面だった。「あんなバッティングをするような子じゃないんですけれどもね。あそこで1点差に詰め寄れていたら、また流れも大きく変わってきたと思います」と、残念そうに振り返った。

また、鈴木 勝也投手があれだけ捉えられたのは見たことがないということだ。いくつかの悔いを残しながらも、夏へ向けての課題もしっかりと見えたということで、夏へ向けて、もう一度作り直していくことを誓っていた。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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