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【野球部訪問】第1回夏の優勝校・鳥羽(京都)は“古豪”なんかじゃない!「つねにアップデートする野球」で甲子園を狙う

2024.03.15


左から谷𦚰蔵太、河合尚吾、野口翔生(鳥羽)

いまを遡ることじつに109年前。1915年(大正4年)に開かれた第1回全国中等学校優勝野球大会で優勝したのが京都二中だ。現在の京都府立鳥羽高校の前身である。同校の公式戦ユニフォームの左袖には、「KSMS」の文字が入っている。「Kyoto Second Middle School」、京都二中の英語での略称である。

近年でも2012年春、2015年夏に甲子園出場をはたしている鳥羽は、そのたびに「古豪復活」と騒がれてきた。この「古豪」という言葉は少々くせ者で、なんとなく「古くさい野球」をイメージしてしまう。
しかし、鳥羽は常にアップデートを繰り返すチームだ。アップデートが伝統になっているからこそ、常に新しいのである。だから、私立強豪ひしめく京都で安定した力を発揮してきているのである。
京都市南区にある同校を訪ねた。

選手自身が考え、変えていく

鳥羽のアップデート力の源は「選手自身が考え、変えていく力」である。松下浩司監督は言う。
「毎年、同じことはやりません。選手間でのミーティング力を大切にしています。走塁のスタートについては“走塁リーダー”が、素振りは“スイングリーダー”がいて、彼らを中心にそのときそのときの目的に応じてメニュー考えているんです」

2015年に甲子園に出場し、現在コーチを務めている上原大和も「選手たちでミーティングをして、改善してくことは当時からやっていました」と話すように、選手自ら考えることができるのが鳥羽の伝統であり、古豪でありながら、常に新しい風が吹いているのである。

しかし、自ら考えるにはベースとなる練習方法や知識が必要だ。また、基準を知らなければ、アップデートはできない。この選手たちの「考える力」のベースを整えているのが松下監督だ。松下監督が生み出す特徴的なトレーニングを紹介しよう。

まずは、「メンタルトレーニグ」。鳥羽は練習前に音楽をかけている。その間、選手たちは、イメージトレーニングをする。各自が甲子園で戦っている姿や、京都大会で優勝している情景をより具体的に思い浮かべるようにするのだ。
「感情とイメージを結びつけたら、脳は記憶します。自分たちがテンションや気分が上がったり、やる気が出る音楽を選んで、その音楽が流れている間は、優勝をイメージする。優勝と音楽を結びつけると、その音楽聞くだけで、優勝してるイメージを描けてワクワクホルモンのドーパミンが出るんです」(松下監督)

また「4スタンス理論」も取り入れた。この理論は人間の身体を4タイプに分けて、それにあった動きをすることでパフォーマンスを引き出すというものである。「ホームランもかなり増えました」と松下監督も効果を実感している。
大西 航平投手(3年)もこう話す。
「昨日もブルペンに入ったんですけど、4スタンス理論で球の走りが違ってきた」
体の使い方を変えることでの効果を感じている。

専門家の指導のもと、「食育」も行っている。月1回の体力・身体測定を行い、サプリメントも摂取することで、体を整えていくのである。

こうした取り組みを通じて、選手・マネージャーたちが、体作りには何が必要で、自分たちは何をしないといけないか、理解していくのだ。
松下監督が整えた環境の中で、選手たちは自ら練習方法を考え、鳥羽高校の野球をアップデートしているのである。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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