試合レポート

対外試合もいよいよ解禁、寒空の下でも球音は元気にはじける

2024.03.03


試合前の、葛飾野のミーティング

<練習試合:都立葛飾野7-0都立東>◇2日◇葛飾野グラウンド

今年は、3月1週目の土曜日から、高校野球の対外試合が解禁となっている。東京都では、2週間後の16日から春季大会1次ブロック予選が開幕する。1次予選大会から出場する各校は、まずはそこを目標としてチームを作っていくことになる。

都立東は、昨夏の大会終了後に3年生が抜けて、新チームは8人という形になり、秋季大会1次予選は、かえつ有明と組んでの合同チームで戦った。しかし、その後に1人の入部があり、この春は単独チームで挑もうと調整している。ぎりぎりの人数でもあり、ケガや体調不良になるとチームが成立しなくなるため、1つひとつに対して慎重だ。

今季の最初の試合となったこの日、現在の状況から藤田 康平監督は都立小山台時代の恩師でもある都立葛飾野の才野 秀樹監督に相談して、可能な限りの条件で試合をするということになった。この日、都立東は1人が体調不良により来られなくなり、都立葛飾野が1人の助っ人を出して援助するという形となった。ただ、都立葛飾野も昨秋は、代表決定戦で都立昭和に競り負けているだけに、2週間後へ向けて、チームコンディションを整えていきたいところである。そうした中での、都立東に対しての配慮ということになった。

また、特別ルールとして10回表まで行った。都立葛飾野としては1人でも多くの投手を投げさせたいという思いがあることと、都立東としても少しでも選手に打席の機会を与えたいという思いもあり、試合前から「時間があれば」という条件で決めていた。

ぎりぎりの人数でやってきている都立東。これに対して都立葛飾野は、指導スタッフも充実していて、練習量もしっかり確保してきている。正直なところ、果たしてどんな試合になるのだろうかと、いう心配もあった。せっかくの今季のオープニングゲームでもある。とんでもないワンサイドゲームにならなければいいのだが…、とも思っていた。

ところが、それは杞憂に終わった。というのも、都立東は先発の村上投手がしっかりとした投球をしていっていたからであった。7回を投げて、7失点は喫したものの、四死球で自滅してしまうとか、失策が相次いで、守りが乱れていくということもなく、試合はまとまった形になった。これは、都立東の選手たちが、限られた中でも、しっかりと地道に練習を積んできた成果とも言っていいだろう。

また、シートノックでも、藤田監督は選手たちに「ナイスプレーだ!」「いい送球だよ、ナイスボールだ」と、丁寧に声掛けをしていた。選手たちも華やかさはなくても、しっかりと1つひとつをこなしていこうという姿勢が表れていた。

ただ、1番・伊藤が3回に右越え三塁打を放った後、打線が沈黙。やはり打ち込み不足は否めないところであったのかもしれない。それでも、9回にはこの秋以降に再入部したという北原が、右前打を放ってチーム3本目の安打を放ったのは立派だった。「本人も、すごく喜んでいました。自信にしていって貰えればと思います」と藤田監督も目を細めていた。

都立東としては、単独チームでの出場を申請しているため、1人でも欠けたら棄権ということになってしまう。それだけに、日々の練習でのケガへの注意と体調管理が、とても大事になっていく。

都立葛飾野は、予定していた5人の投手が登板し、それぞれが任されたイニングの責任を全うした。先発して2つの失策で走者を背負いつつも、失点なく投げた佐藤投手。右サイドの沢投手、力強い大桃投手に、安定した感じの高玉投手。そして、しなやかな感じの茅野投手と、バラエティーに富んでいた。

才野監督も、仕上がりとしては順調な様子を感じていた。この日は行わなかったが、足を絡めた攻撃なども交えていけば、大会でも面白い存在になっていきそうだ。

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この記事の執筆者: 手束 仁

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