【高校野球ベストシーン’23・鳥取編】捕手の三塁けん制、本塁タッチアウト、スライディングキャッチ…、鳥取商が守り勝った鳥取城北との準決勝

2024年が幕を開け、センバツの足音も聞こえはじめてきた。昨年、高校球界でもさまざまな印象的な出来事があったが、都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。

【選手権鳥取大会準決勝・鳥取商vs.鳥取城北】
野球において守りのリズムは大事である。それを痛感させられたゲームがあった。昨年夏の鳥取大会準決勝。春夏連続甲子園を狙う鳥取城北に、春4強の鳥取商が挑んだ。春の準決勝でも、この2チームが対戦し、鳥取城北が7回コールド勝ち。因縁の対決でもあった。

鳥取商が1回に2点を奪う。その裏に鳥取城北も1点を奪って、2対1で試合が進む。9回裏2死一塁。鳥取商の決勝進出が見え始めたなか、鳥取城北の4番の背番号15、石黒 尚外野手（2年）が左中間への適時二塁打を放ち、同点に追いつく。なおもサヨナラのピンチを迎えたが、鳥取商は運もあって、ここからしのいだ。

2死一、二塁。鳥取城北の三輪 歩夢内野手（3年）の打球が右翼ポール際への大飛球となった。サヨナラアーチと思いきや、わずかにポールをそれてファウル。命拾いした鳥取商は、三輪に左前安打を許したが、二塁走者を本塁突入寸前でタッチアウト。鳥取商は、サヨナラ負けの危機をしのいだ。

10回表に2点を奪った鳥取商は、その裏も相手の攻撃をしのいだ。1点を返されて、なおも無死二、三塁。打者がバントの構えをしてバットを引いた2球目。岡垣 昂佑捕手（3年）は迷うことなく三塁へ送球し、やや飛び出していた三塁走者をアウトにした。実は初球を捕球した直後、岡垣は三塁走者の動きをしっかりチェックしていた。準備を怠らない岡垣のスキをついた見事な守りだった。

なおも、好守備が続く。右翼線へのフェンス際の難しいファウルフライを、右翼手の青木 一真外野手（2年）がスライディングキャッチ。その後、負傷してベンチに下がるほどの激しいプレーだった。大事な場面で好プレーが連発。2死となり、流れは一気に鳥取商へ傾いた。結局1点差で勝利し、決勝進出を決めた。

鳥取商は決勝でも鳥取西に2対1で勝利。2年連続4回目の夏甲子園出場を手にした。野球は、やはり「守り」が大事である。

＜全国高校野球選手権鳥取大会：鳥取商4ー3鳥取城北（延長10回タイブレーク）＞◇2023年7月23日◇準決勝◇どらやきドラマチックパーク米子市民球場

鳥取商スタメン
（遊）羽根 勘太（3年）
（二）粂田 大嘉（3年）
（右）青木 一真（2年）
（左）石見 秀太（1年）
（中）金山 将大（3年）
（投）山根 汰三（3年）※日本体育大進学予定
（一）梅宮 哉芽（3年）
（捕）岡垣 昂佑（3年）※愛媛マンダリンパイレーツ入団
（三）木下 晴輝（3年）

鳥取城北スタメン
（中）原田 颯太（3年）※東海大進学予定
（二）山本 迅斗（3年）
（捕）河西 華槻（3年）
（一）石黒 尚（2年）
（右）日下 侑太（2年）
（三）三輪 歩夢（3年）
（左）山戸 敦史（3年）
（投）新庄 空（3年）※日本大進学予定
（遊）前田 拓来（3年）