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「今年も強い」仙台育英に迫る、強豪私立に公立校! 群雄割拠の予感漂う’24年宮城県の高校野球

2024.01.07


武藤 陽世(仙台育英)

一昨年夏に東北勢初の甲子園優勝を成し遂げた仙台育英(宮城)は、昨夏も甲子園決勝に進出して準優勝に輝き、全国の高校野球ファンを沸かせた。ただ、宮城の高校野球が仙台育英の「1強」状態となっているわけではない。各校、新チームになって臨んだ昨秋の県大会では、東陵が準々決勝で仙台育英を破り、聖和学園が春夏秋通じて初の頂点に立った。また公立校の仙台一が3位に入って、来春センバツの21世紀枠最終候補に選出されるなど、群雄割拠の様相を呈している。宮城高校野球の2024年を展望する。

仙台育英は今年も旋風を巻き起こすか

仙台育英の新チームは、秋の県大会こそ8強止まりに終わったが、選手層の厚さは健在だ。特に投手陣は「150キロトリオ」が抜けても、逸材がずらりと並ぶ。武藤 陽世投手(2年)は、昨夏の甲子園でも登板した速球派左腕。140キロ前後の直球と、キレのあるスライダーは大きな武器となる。秋、背番号1を背負った佐々木 広太郎投手(2年)、190センチを超える長身の山口 廉王投手(2年)はいずれも速球が光る右腕。1年生右腕・山元 一心投手(1年)もポテンシャルが高く、早くも公式戦の登板機会を得ている。

野手陣では旧チームからレギュラーに名を連ねていた湯浅 桜翼内野手(2年)、鈴木 拓斗外野手(2年)が中軸に座る。昨夏の甲子園でメンバー入りした登藤 海優史内野手(2年)、濱田 大輔外野手(2年)、細田 悠真捕手(2年)も経験値が高い。中でも、新主将に就任した湯浅は、抜群のバットコントロールを誇る打撃と、堅実な内野守備をすでに全国の舞台で発揮し、今年は攻守の要となる。1年生にも中岡 有飛内野手(1年)、高田 庵冬内野手(1年)ら中軸を狙えそうな野手が複数いて、今年も強力打線が形成されそうだ。

「打倒・仙台育英」に燃える強豪私立校

秋の県大会で仙台育英を下した東陵は、エース左腕・熊谷 太雅投手(2年)に注目。180センチを超える長身から投げ下ろす角度のある直球を武器に、仙台育英戦では1失点完投勝利をやってのけた。一方、準決勝の古川学園戦、3位決定戦の仙台一戦はいずれも序盤で降板し、チームに白星をもたらすことができなかった。東陵には他にも、右腕の眞壁 悠斗投手(2年)ら好投手がいるだけに、熊谷を中心により強固な投手陣を築きたい。

秋の県大会を制した聖和学園も投手力が光る。制球力とスタミナが自慢の長身右腕・千葉 桜太投手(2年)を軸に、齋藤 佑樹投手(2年)、齋藤 悠大投手(2年)らとの継投で相手打線を封じ込む。1年次から公式戦で安打を量産している新主将の三浦 広大内野手(2年)、左の巧打者・鈴木 健人外野手(2年)らが上位に並ぶ打線も強力で、今年は初の甲子園出場を狙う。

秋は決勝で聖和学園に敗れ準優勝だった古川学園は、近年県内では上位常連校となっている。新チームは打撃が売りで、秋の県大会では5試合で38得点、チーム打率.321をマークした。新主将の青沼 佑眞外野手(2年)や、長打力のある関屋 大惺外野手(2年)らが打線を引っ張る。

昨春のセンバツに出場した東北も負けてはいられない。140キロ超の速球を持つ進藤 愛輝投手(2年)をはじめ、好投手がそろう。旧チームとメンバーが大きく入れ替わる打線も春に向け得点力を上げたい。速球派投手が次々と育つ日本ウェルネス宮城や昨夏準優勝だった仙台城南も隅に置けない存在だ。

千葉 桜太(聖和学園)

21世紀枠候補の仙台一など公立校にも注目

近年目立ってきた公立校の躍進も続いている。仙台一は昨秋東北大会に出場し、初戦敗退を喫したものの、強豪の八戸学院光星(青森)相手に善戦。来春センバツの21世紀枠最終候補に選出された。パンチ力を秘めるリードオフマンの藤原 啓内野手(2年)、新主将で秋は「4番・捕手」を務めた小川 郁夢捕手(2年)ら、経験豊富な最上級生が多い打線で、投手層も厚い。

古豪の仙台商も楽しみなメンバーがそろう。昨秋の県大会でともに7割超の打率を残した郷家 璃久内野手(2年)、熊坂 勇星外野手(2年)ら、1年次からスタメンに座る野手が中軸を担う。投手陣もすでに公式戦で経験を積んでいる大友 光晴投手(2年)、作田 光哉投手(2年)がいて、総合力の高いチームだ。

他にも仙台三柴田などの実力校がひしめく。私立、公立を問わない激戦が今年も繰り広げられることとなるだろう。

仙台一の選手たち

(取材・文=川浪康太郎)

この記事の執筆者: 川浪 康太郎

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