【高校野球ベストシーン’23・宮崎編】2試合連続サヨナラ勝ちで初優勝、宮崎学園に快挙をもたらした2年生左腕
河野 伸一朗(宮崎学園)
2024年が幕を開けた。昨年、高校球界でもさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。
野球は筋書きのないドラマと言われるが、23年の夏の宮崎大会では、宮崎学園がまさにミラクル劇を演じながら、初めて頂点へ駆け上がった。接戦に次ぐ接戦をものにし、準決勝、決勝でサヨナラ勝ち。春夏通じて初の甲子園をつかんだ。
準決勝の日南学園戦では、得点を許したその裏に2度同点に追いつく展開で、4対4のまま9回裏に。先頭打者の斎藤 崚雅内野手(3年)が変化球を振り抜くと、打球が左翼席で大きく弾む。チームを決勝に導く劇的なサヨナラアーチが飛び出し、チームのムードが最高潮に達した。
聖心ウルスラとの決勝は、0対0のまま延長戦へ。10回表を無失点に抑えた宮崎学園は、その裏に1死一、三塁から、代打の渡辺 隼人外野手(3年)が右越えへサヨナラ打。激戦に終止符を打ち、甲子園切符を手にした。
劇的勝利の裏には、2年生左腕の踏ん張りがあった。191センチ、75キロと細身の河野 伸一朗投手(2年)が、準決勝、決勝と2試合連続で完投した。130キロ台後半の直球と、スライダー、カーブ、チェンジアップを操り、見事にチームを勝利に導いた。猛暑のなか、マウンドに立ち続け、準決勝で128球、中1日での決勝では156球を投げた。決勝の延長10回裏のマウンドで、この日最速の136キロ直球を投げている。想像を絶する強力な体力と精神力が、河野を支えていた。大会通算42回を投げて、防御率1.29。647球を投げて栄冠をつかんだ。
甲子園では初戦敗退に終わったが、タフな一面をのぞかせ、宮崎でもっとも「頼りになる男」だった。
夏の宮崎県大会決勝宮崎学園スタメン
(中)齊藤 聖覇(2年)
(一)田口 周(3年)
(二)中村 勇貴(3年)
(右)川越 魁斗(3年)
(三)斎藤 崚雅(3年)
(左)野崎 陽和太(3年)
(遊)浦田 翔夢(3年)
(捕)丸山 遥音(3年)
(投)河野 伸一朗(2年)