【大学野球・仙台六大学】1回戦 東北学院大 vs 東北工業大

背番号間違いで没収試合に…東北学院大と東北工業大の初陣は思わぬ幕切れも、手に汗握る好ゲーム

＜仙台六大学野球秋季リーグ：東北工業大9－0東北学院大（没収試合）＞◇2日◇1回戦◇東北福祉大

思わぬ結末が待っていた。両校にとっての今秋初戦となった東北学院大と東北工業大による一戦は、手に汗握る好ゲームに。東北学院大が初回に3点を先制する幸先良いスタートを切るも、1対4の7回に東北工業大が5点を奪い逆転。東北工業大2点リードのまま最終回を迎えた。9回、東北学院大が無死一、二塁と好機をつくり反撃ムードの漂う中、試合が中断。東北学院大に登録時と異なる背番号で出場した選手がいたことが判明し、協議の末、没収試合（東北工業大の9対0勝利扱い）となった。

東北工業大の目黒 裕二監督は「大人がしっかりとチェックしないといけない。あそこまで必死に戦って面白い試合をしてくれたので、（個人の）記録は残してあげたい」と複雑な表情。この試合の個人成績を連盟の記録として残すか否かは、3日の監督会議で決定する予定だ。その一方、指揮官は「8回までは試合前に思い描いていた通りの展開。ゲーム内容としてはよかった」と自チームの選手を称えた。

7回、1死満塁の好機に代打で登場し、逆転につながる2点適時二塁打を放った下村 悠太捕手（4年＝盛岡工）は「最後のシーズンに初ヒットを打ちたいと思っていたのでうれしい」と笑顔を見せた。4年春までのリーグ戦通算成績は22打数無安打。主に代打でチャンスを与えられるも結果が出ず、「すごく焦っていた」。それだけに意味のある一打となり、下村は二塁塁上で喜びを爆発させた。

投手陣は開幕投手を務めたエース左腕・後藤 佑輔投手（3年＝仙台育英）が立ち上がりに苦しむも7回4失点と粘投。逆転した後はルーキーの對馬 温斗投手（1年＝仙台城南）がリーグ戦初登板のマウンドに上がり、8回は無失点に抑えた。昨夏の宮城大会で打率.727（11打数8安打）をマークするなど高校時代は野手としての活躍が目立ったが、大学では遊撃の守備に苦戦したこともあり7月頃から投手に専念している。

豊富な投手陣の中で個性を出すため高2以来のサイドに挑戦。短い期間の中で武器としている「テンポ良く打たせる」投球をアピールし、開幕ベンチ入りを果たした。この日もフライアウト2つ、ゴロアウト1つでテンポ良くアウトを重ねた。現在の最速は140キロに満たないものの、高校2年次には143キロを計測しており、スライダーやツーシームなどの変化球も精度が高い。

「自分のピッチングはどうでもいい。とにかくチームを勝たせることだけを考えている」。ルーキーながら肝の据わっている右腕。緊迫した場面で鮮烈なデビューを飾った對馬の4年間が楽しみだ。

東北工業大が連勝で勝ち点を奪うか、東北学院大がタイとするか。3日も両校による熱戦が期待される。

（取材＝川浪康太郎）