試合レポート

浦和学院vs武南

2014.09.27

浦和学院、好発進

浦和学院vs武南 | 高校野球ドットコム

苅田(武南)

 絶対エース小島 和哉の抜けた浦和学院、投手陣がどれだけやれるのか一抹の不安が過ったが、どうやら取りこし苦労であったようだ。まずは初戦で難敵・強打の武南を退けた。

 試合は、浦和学院が江口、武南が苅田と両左腕の先発で始まる。浦和学院・江口はややトルネードのような回転で投げ込む。ストレートは目測でMAXでも130km前半程度だが、ピュッと手元で伸びている。一方の武南・苅田は身長172cmと球に角度がつけられない分、左腕から右打者の外角へシュート気味の球を投げるなど投球術で勝負するまとまった投手という印象を受ける。

 先制したのは浦和学院だ。初回やや硬さのみえる武南・苅田に対し、一死から2番・だい(吉室)がライトオーバーの3塁打を放つ。二死後4番・山崎 滉太の当たりはサードゴロだったがサード荻田のエラーで浦和学院に1点が入る。さらに続く西野 真也のヒットと6番・幸喜の死球で満塁と攻め立てるが、その後は苅田が踏ん張り何とか初回を1失点で乗り切る。
 

 一方の武南も立ち上がりやや不安定な江口に対し、初回以外は5回まで毎回先頭走者が出塁する。だが、犠打がことごとく決まらず併殺、ヒッティングに切り替えても併殺と序盤の3併殺が響き江口を助けてしまう。

 それでも、5回表、武南が大きなチャンスを掴む。この回先頭の渡瀬がレフト前ヒットで出塁すると、続く倉林の犠打はキャッチャー西野の正面に転がる。またしても併殺かと思われたが西野の二塁への送球が悪送球となり、無死一、二塁と絶好のチャンスを迎える。だが、7番・荻田の犠打はまたしても失敗に終わり、三塁封殺で一死、続く曽山はセーフティー気味の犠打を決め二死二、三塁とする。9番・苅田が死球で出塁し二死満塁とするが、続く中島が凡退し武南は絶好のチャンスを逸する。


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江口(浦和学院)

 すると、初回以降立ち直った苅田に対し、やや防戦に回っていた浦和学院が6回裏一気に流れを掴む。

 一死から、4番・山崎 滉太が内野安打で出塁すると、続く西野 真也が右中間へ二塁打を放ち一死二、三塁とチャンスを広げる。さらに、代打の新谷が四球を選び満塁とすると、続く高橋の所でバッテリーが乱れワイルドピッチでまずは1点を追加する。さらに高橋も四球を選び再び満塁とすると、8番・荒木の打球は一塁線への強い当たりを放つ。打球はイレギュラーし、これが2点タイムリーとなり4-0としこれで試合の大勢は決まった。

 投げては、6回以降立ち直った江口が、その後は武南打線をきっちりと抑え終わってみれば5安打完封勝利を飾り、浦和学院がまずは初戦を突破した。

 この試合浦和学院は苦しむのではないかと思われた。というのも、浦和学院が新人戦で苦しんだ延長の末やっと勝った大宮東相手に、武南地区決定戦8対0で勝利していたからだ。だが、終わってみれば武南の強力打線を相手に江口が完封し打線も10安打ときっちりと本番に合わせてくるあたりはさすがだ。

 江口はまだ球にバラつきがみられるが、勝負所ではきっちりと投げ込んでいた。投手陣としては他に左腕2枚、右腕1枚と豊富だが、今大会の主戦はおそらく江口であろう。関東大会出場へ彼の好投は必須だ。

 一方の武南であるが、初戦で浦和学院相手ということもありやや硬さが見られた。頼みの打線がこの試合3度の犠打失敗を含む4併殺と最後までつながりを欠いた。だが、神原、田村、渡瀬のクリーンアップは強力で、投手陣も左腕苅田、長身の佐藤と二枚は計算できる。それだけに、早期敗退は残念な結果だが、地力はあるだけに一冬越えると面白い存在になるであろう。今後はバントや守備など細かい所を徹底的に鍛え春以降の奮起に期待したい。

(文=南英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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