三島vs今治北大三島
完封勝利をあげた大久保(三島)
お互いが示した「2011-2012スタイル」
今治市と尾道市を結ぶ「しまなみ海道」にて愛媛県側最後の島となる大三島。その大三島にある唯一の高校・今治北大三島分校は、2人だけの3年生部員、4人しかいなかった2年生部員を補うべく、昨秋、今春はテニス部や卓球部、陸上部の手を借りて大会出場を続けていた。
しかし、この4月には大挙9名が野球部の門を叩き、夏に続きこの秋も助っ人なしで大会に臨むことに。右サイドハンドから130キロを超える直球を投じる渡邊将矢(2年)こそ、右ひざ半月板を痛め登板できなかったものの、多和博政(2年)を中心とした内野守備の堅さは、今後の成長を大いに予感させるものであった。
ただし彼らにとって、今春四国大会ベスト4・夏ベスト8の三島の壁はやはり厚かった。三島は1回表に3番・工藤悠河(2年)、6番・岸倖生(1年)の連続タイムリーで先制を果たすと、その後も「新チームになってバットを振ることを心がけた」(鈴木一宏監督)各打者が難しいボールをことごとくカット。相手投手陣に200球以上を放らせる粘りを発揮し10安打で5得点を積み上げた。
さらに、このゲームが緊張の公式戦初先発となった大久保海斗(1年)も、実にテンポよいピッチングを展開し3安打無四球完封。遊撃手・住田純樹(2年)の好守と共に、3季連続となる今治西との対戦へ向けて手ごたえ一杯の1勝を手にしたのである。
勝敗こそ分かれたが、お互いの「2011-2012スタイル」を存分に示すことができた両校。約10ヶ月ごの完成系へ向け、彼らはこの試合をベースに前へ進んでいく。
(文=寺下友徳)