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プロ野球選手輩出の強豪シニアが少年野球大会開催 野球人口減少の歯止めへ、交流を深める

2022.12.30

プロ野球選手輩出の強豪シニアが少年野球大会開催 野球人口減少の歯止めへ、交流を深める | 高校野球ドットコム
決勝を戦った両チーム

 日本ハム・浅間 大基外野手(横浜高出身)や日本大・市川 祐投手(1年=関東一)など数多くの選手たちが巣立っていったリトルシニア界で有数の実力チーム・新宿シニアが、2022年も少年野球向けの大会である新宿シニア杯を開催。24日は決勝戦が行われ、寒空の下で未来の高校球児たちが目いっぱいプレーした。

 2004年から続いている歴史ある大会で、2022年で第19回を迎える。決勝は豊上ジュニアーズ(千葉)がいちがやチーターズ(東京)を4対1で破って優勝。少年野球最高峰の大会であるマクドナルドトーナメントでベスト8に入った実力を初回から発揮。1番・藪内 雅也の一打などで2回までで4点を奪うと、そのリードを豊上ジュニアーズ投手陣が守った。

 いちがやチーターズも何とか食らいついて1点を返したが、引き締まった投手戦を崩すことができず、わずか1時間ほどのスピードゲームを豊上ジュニアーズが制して頂点に立った。

 優勝をつかみ取った豊上ジュニアーズの渡邉 陸人は「優勝できたのは嬉しいですが、細かなミスが無ければもっと良かった」と辛口の評価だったが、目標だった優勝を達成したことには一安心していた。対して準優勝に終わったいちがやチーターズの岡本 壱哉は、「打倒・豊上を掲げていたので、今日は一生懸命戦い抜いて、悔いはないです」と晴れ晴れとした表情だった。

 近年は高校野球や大学野球で小学生に対する野球教室を開催する機会が増えるなど、小学生との交流をするチームが多くなってきた。新宿シニアのヘッドコーチを務める坂井コーチも「(実施するチームが)増えたと思います」と振り返ると、続けて「小学生の時に所属していたチームと再会して、成長した姿を練習で見てもらえるのが、この大会ならではだと思います」と今大会だけが持つ特色を語った。

 坂井コーチが話すように、新宿シニア杯が開催されているグラウンドのすぐ隣では、新宿シニアは通常通り練習をやっている。滅多に見ることができない硬式野球の練習模様を間近で見ることができる貴重な場となっている。

プロ野球選手輩出の強豪シニアが少年野球大会開催 野球人口減少の歯止めへ、交流を深める | 高校野球ドットコム
新宿シニアの選手が、出身チームの後輩にメダル授与

 少年野球の指導にあたっているコーチ陣も「中学硬式をあまり見る機会がないので、いい勉強になると思います」と話せば、「OBの大きくなった姿を見て、保護者は懐かしいと感じる人もいると思いますし、憧れて入団する選手もいるのではないでしょうか」と大会開催を通じてOB選手や中学硬式の世界を肌で感じることは大きなプラスになっているようだ。

 それは中学生も変わらない。現在チームをまとめる安藤 玲一内野手(2年)も「楽しく元気に試合をやっている姿を見て、自分も早く試合がやりたくなりました」と、後輩たちのプレーに多くの刺激を受けたようで、互いに大きな効果があった。

 現在、新宿シニアの山崎 宇充会長も「年に1度、少年野球の現場を見て状況を知ることができていることを考えれば、非常に重要な接点です」と大会の持つ意義を話す。

 同時に数ヶ月、数年前まで一緒にやっていたOB選手が、すぐ隣で練習している姿を通じて、「逞しくなった体つきやプレーを見て、OBの成長と自分を重ねてもらって、『自分もできるんじゃないか』と感じてもらえればと思います」と、野球界の底辺を支える少年野球に対して、メッセージを語った。

 2023年は第20回の節目の大会だが、新宿シニアはこれまでと変わらず、世代の垣根を越えて野球界を支える少年野球との交流を通じて、野球界へ貢献し続ける。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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