「とにかく野球がしたい。できれば背番号をつけて」代替大会ない福岡・小倉工は区切りの試合を目指して練習継続
小倉工業の練習の様子※写真は2018年秋に撮影
福岡県高野連は5月25日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となった夏の全国高校野球選手権大会の代替となる福岡県独自の大会は開催しないことを発表した。
これを受け、昨年の全国高校野球選手権福岡大会でベスト8に進出した小倉工の牧島健監督は、「代替大会はあるかなと思っていたのでとても驚きました」と無念の想いを口にした。
同校は、緊急事態宣言の解除に伴い25日から学校が再開。
野球部も区切りとなる大会を想定して、再スタートを切ったばかりだっただけに、選手たちにも動揺は広がった。
「選手たちを集めて代替大会が中止になったことを伝えると、一瞬ざわついて選手たちは目を合わせる様な仕草を見せていました。まず事実を受け入れて、立ち止まったり進路に向けて投げやりになることがないようにしようと声を掛けました」
それでも、練習後に行った3年生との面談では、選手たちの精神的な成長も垣間見えたと牧島監督は明かす。
面談では現在の心境やまだ野球はやれるかといった質問を投げかけたが、選手たちは置かれた状況を冷静に受け入れ、「甲子園という目標がなくても、まずは背番号をつけて球場で野球がしたい」といった意見が多く出た。
「私たちが思っている以上に選手たちは大人だなと思いました。
練習や試合をする環境、また今までやってきたことの発表の場は何とかするからと選手たちには伝えたので、選手のためにも何とか動いて行きたいと思います」
福岡県高校野球連盟は今後、大会以外の方法で3年生の思い出作りの場を考えたいと話しており、また学校長の判断による他校との練習試合については制限はない。
完全に納得することはできずとも、選手たちが最大限できる範囲の中で高校野球を終えることを願いたい。
(記事=栗崎 祐太朗)
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