News

人事異動でまったくわからないまま、再開を待つ都立小岩・茶川剛史監督

2020.05.09

人事異動でまったくわからないまま、再開を待つ都立小岩・茶川剛史監督 | 高校野球ドットコム
選手たちの指示を与える都立淵江・茶川剛史前監督(2018年秋季大会より)

 公立校の場合、毎年の異動は定例行事となっている。本来ならば3月下旬に正式に通達があって、4月1日から正式異動として新しい学校での職務に就く。そして、すぐに新学期が始まり、部活動も同じようにスタートしていくことになる。

 教員の異動に関しては、あくまでも原則は教科との兼ね合いということなっているのは当然だが、近年は東京都でも部活動の指導者という要素も見極めながらの異動人事も少なくない。つまり、ある程度の実績を挙げてきている部活動でその担当教員が異動となる場合には、それ相応の後任人事を配置していくということである。

 近年躍進してきた都立小岩の場合も、前任の西悠介監督が都立雪谷に異動になったということで、その後任としては都立城東が2度目の甲子園出場を果たした際の主将だった茶川剛史監督が都立淵江から異動してきた。しかも、茶川監督と西前監督は、早稲田大時代の先輩と後輩という間柄でもある。だから、比較的スムーズにチームの意図を組んで取り組んでいきやすいのではないかと思われた。

 ところが、今回のコロナ騒動で、そんな思惑どころではなくなってしまっている。茶川監督は、異動してすぐに、学年ごとに時間差で行われた始業式の日に、部員たちとは3年生だけ、2年生だけとは、それぞれ短時間ではあるが顔合わせはしている。

「なんだか不思議な感じでした」
 とは、その時の正直な感想である。それでも、選手たちの思いは感じ取っていた。

「ほんのちょっとの時間でしたが、ミーティングをやった時に選手たちの目はキラキラしていたので、本当に西イズムが浸透しているというか、自立してきているのだなという感じがして頼もしかった」

 というのも最初に選手たちの顔を見た印象だった。それだけに、「早く野球をやらせてあげたい」というのは正直な気持ちである。

「この(新型コロナウイルスの感染拡大で休校という)事実、現実は変えられないので、これをどう受け止めていくのかということは、自分にも言い聞かせています。彼(西前監督)とも話はしていますけれども、目指すところは同じだなということは感じています。そういう意味では、ブレずに今の選手たちとやっていかれるとは思う」
 と、指導方針や、チームとしての目指すところの意識確認、チームの強みや弱点は確認は出来ているという。ただ、実際には活動出来ていないので、それを選手たちと確認出来ていないという現実はもどかしいというのは確かであろう。

「選手たちとは、まだほとんど面識がない状態ですから、メッセージを送るのも保護者の協力も必要だと思っています。だから、(保護者)会長から流してもらうということもありますが、こうなってしまっているという現実を何とかプラス方向に考えていかないといけないとは思っています」

 4月からは1カ月、ほとんどグラウンドで集まれないという状況が続いた。そして、それが緊急事態宣言の延長でさらに1カ月期間が空いてしまったということになる。

「これだけ空いていると、(部長も異動しているので)却って新しい指導体制になったことに切り替えられるというところもあるのではないかと思っています。基本的には、西監督のやってきたことを継承していくことになるのでしょうけれども、(西前監督と)確認はし合っているので、何かわからないところがあれば伝えてくれと言うことは言っています」

 選手たちにはLINEメールなどを通じて週1回くらいのアンケートも取っているという。そんなことをしながら少しずつではあるが、選手の名前は確認していっているという。

 新入生に関しては、「何人入ってきてくれるのかもわからない」という状況だという。茶川監督としては、地元の江戸川区とはいえ異動してまだほとんど学校へ行っていないので、職場(学校)がどうなっているのかということもよくわからないというのも本音だ。

「選手たちは腐らずにレ―ニングをやれていると信じている。自分自身も想像はつかないけれども、(大会そのものが)どんな形になったとしても、今年の3年生は今後の中で歴史に残る代にはなると思う。その重みをどう感じていくのかということは、自分も含めてしっかりと意識していかないといけない」

 そう、強い思いを語ってくれた。また、前任の淵江の選手たちに対しても気遣っていた。

「淵江の子たちに対して、しっかりと挨拶も出来ないままでした。気持ちを伝えきれずに、こんな形の異動になってしまったのは心残りです」

(取材=手束仁

関連記事
浸透するZoom、LINEの活用。最新IT、SNSを活用するチーム一覧!
【動画】坂本勇人ら強打者を育て上げる伝道師・金沢 成奉監督。強打の神髄は『ラインバッティング』にあり
メッセージ動画で繋ぐ心のリレー。全員が一丸となって、萩商工は難局を乗り越える

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!