鷹リチャード(沖縄尚学出身)は生え抜き初の育成出身スラッガーとなるか?
砂川リチャード(沖縄尚学-ソフトバンク)
日本一4連覇を目指すソフトバンクは、このオフシーズンにウラディミール・バレンティンを獲得した。日本で通算288本塁打を放っている言わずと知れた大砲だ。今年で36歳になるが、昨シーズンも33本塁打を記録していることからも出場試合数を確保さえできれば、それ相応の本塁打は見込めるはずだ。
今年のソフトバンクは柳田悠岐や松田宣浩、アルフレド・デスパイネ、ユリスベル・グラシアルと30本塁打を期待できる選手が多い。この陣容なら、NPBでは一度も達成されたことがない「30本塁打クインテット」も決して非現実的な話ではないだろう。
そんなソフトバンクだが30本塁打を期待できるような長距離砲は、大卒選手もしくは外国人選手に偏っている。2005年以降にドラフト指名された生え抜きの高卒選手で、30本塁打を記録した選手はひとりもいない。20本塁打以上にハードルを下げても上林誠知が2018年に記録しただけである。高卒の長距離砲は育成に定評のあるソフトバンクでも高卒生え抜きの長距離砲は近年誕生していないのである。
そんな中、大砲候補の期待がかかるのが、沖縄尚学高校出身の砂川リチャード(登録名:リチャード)である。育成契約ながらこの春季キャンプでは一軍に相当するA組でスタートし、一度も降格することなく走り抜けた。
打撃練習では快音を響かせ紅白戦や対外試合でも本塁打を量産。無観客試合となったオープン戦でも、しばらくは一軍へ帯同することが決まっている。対戦相手にも主力選手が続々と登場し始めるこれからの試合において、同じように結果を残すことができれば、支配下登録はぐっと近づくだろう。
育成ドラフト出身選手におけるシーズン最多本塁打は、チームメートである甲斐拓也が昨年記録した11本。リチャードが支配下登録されたら、甲斐の記録だけでなく球団の高卒生え抜きでは城島健司(現・会長付特別アドバイザー)以来となる30本塁打超えの期待がかかる。
ちょうど1年前。ソフトバンクは周東佑京と川原弘之を開幕の3日前に支配下登録している。開幕までまだ時間はある。はたしてリチャードは最後の追い込みを見せ、開幕前に2桁の背番号を勝ち取ることができるだろうか。それが30本塁打超えへの第一歩となる。
【ソフトバンクの高卒野手】
※2005年ドラフト指名以降
※育成指名は支配下昇格選手のみ記載
※☆は2020年シーズンNPB/MLB現役
※★は2桁本塁打経験者
荒川雄太(日大高/捕手/2005年高校生1巡)
福田秀平(多摩大聖ヶ丘/内野手/2006年高校生1巡)☆※現在はロッテ
伊奈龍哉(近江/内野手/2006年高校生3巡)
李秉諺(共生/内野手/2006年高校生4巡)
中村晃(帝京/外野手/2007年高校生3巡)☆★
藤井翼(桜井/内野手/2007年高校生4巡)
立岡宗一郎(鎮西/外野手/2008年2位)☆※現在は巨人
猪本健太郎(鎮西/捕手/2008年育成4位)
今宮健太(明豊/内野手/2009年1位)☆★
豊福晃司(鳥栖/外野手/2009年5位)
山下斐紹(習志野/捕手/2010年1位)☆※現在は楽天
牧原大成(城北/内野手/2010年育成5位)☆
甲斐拓也(楊志館/捕手/2010年育成6位)☆★
釜元豪(西陵/外野手/2011年育成1位)☆
真砂勇介(西城陽/外野手/2012年4位)☆
上林誠知(仙台育英/外野手/2013年4位)☆★
曽根海成(京都国際/内野手/2013年育成3位)☆※現在は広島
栗原陵矢(春江工/捕手/2014年2位)☆
古沢勝吾(九国大付/内野手/2014年3位)☆※現在は育成契約
堀内汰門(山村国際/捕手/2014年育成4位)☆※現在は育成契約
谷川原健太(豊橋中央/捕手/2015年3位)☆
黒瀬健太(初芝橋本/内野手/2015年5位)☆※現在は育成契約
川瀬晃(大分商/内野手/2015年6位)☆
九鬼隆平(秀岳館/捕手/2016年3位)☆
三森大貴(青森山田/内野手/2016年4位)☆
増田珠(横浜/外野手/2017年3位)☆
野村大樹(早稲田実業/内野手/2018年3位)☆
水谷舜(石見智翠館/外野手/2018年5位)☆
小林珠維(東海大札幌/内野手/2019年4位)☆
(文=勝田 聡)
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