マシンローイング全国大会近畿ブロックが開催!元高校球児も参戦!
美方高校の元野球部・岸本健吾
1月20日(日)、滋賀県大津市のウカルちゃんアリーナで第31回マシンローイング全国大会近畿ブロックが開催された。
この大会はボート競技の動きを陸上で再現し、漕手の漕力を測定するための器具であるローイングエルゴメーターで、2000mのタイムを競うというものだ。エルゴメーターは全身の力を必要とするため、高校野球でもトレーニングで取り入れている学校がある。
今大会は中学生から社会人まで多くのボート選手が参加したが、その中で高校男子エリートレースに出場した元野球部員がいる。福井県の美方で投手として活躍していた岸本健吾(3年)だ。
岸本は3年夏まで野球を全うし、最後の夏は県大会8強まで勝ち進んだ。ボートは未経験だが、父の崇さんと母の実千代さんはボートの日本代表だった縁もあり、両親を指導した仙台大の阿部肇監督に誘われて大学からボートを始める道を選んだ。
夏に野球部を引退してから高校のボート部や自宅にあるエルゴメーターで練習を重ねてきた。高校エリートレースにはインターハイに出場した選手が数多くいる中で3位と健闘。潜在能力の高さを見せつけた。
エルゴメーターと野球の共通点を聞いてみると「エルゴも野球も苦しいところから粘るところは一緒だと思います」。野球で厳しいトレーニングを乗り越えたことがこの競技にも繋がるという。大学ではインカレ優勝を目指す岸本の今後に注目だ。
岸本と同じように大学からボートを始めた元高校球児がいる。愛知県の名門である中京大中京の野球部から立命館大でボートに転向した福田将(4年)だ。高校時代のポジションは捕手で2年秋と3年春に東海大会8強、3年夏に愛知大会4強と甲子園こそ届かなかったが、強豪校に相応しい結果を残した。
中京大中京出身・福田 将
大学でも野球を続ける選択肢もあったが、兄が大学で野球からボートに転向した影響と指定校推薦で進む学部が野球部の練習場と離れていたこともあり、大学からボートを始めた。
「体力、筋力には自信があったんですけど、全然違った筋肉を使うので、こっちの方がしんどいのかなと思うこともありました」と入部当初は苦しんだが、2年生の全日本選手権5位、4年生では全日本インカレ4位と全国でも上位クラスの選手に登りつめた。
そんな福田に野球の経験がボートをする上で役立っている部分を聞いてみた。「使う筋肉は違いますが、土台は同じですし、一番大きいのはやはり精神的な部分ですね。最高のパフォーマンスをし続けないといけないので、野球で学んだ諦めないことや粘り強さは他の選手には負けていないと思います。練習に取り組む姿勢や心構えは高校の時に一番教えられていたので、ずっと引き継いでいます」。
岸本も話していたが、野球で鍛えた精神面は競技が変わっても大いに役立つのだという。特に今の時期は厳しいトレーニングを行っている高校球児が多いとは思うが、この経験は今後に活かされるということを先輩が証明してくれている。
大学で野球から違うスポーツに取り組む高校生にもエールを送ってもらった。「僕としては野球では高校で輝くことはできなかったんですけど、競技を転向して自信を持つことができました。野球から違う競技に移ることは勇気がいると思うんですけど、勇気を振り絞って諦めなければ輝ける場所はあるのかなと感じます」。
最初は経験者との差を感じながらも努力を重ね、主将を務めるほどにまで成長した福田は大学卒業後も東レ滋賀で実業団選手として競技を続ける。勇気と諦めない気持ちがあればスポーツで自分の未来を切り開くことができるのだ。
元高校球児では福田以外にも近江で甲子園に出場し、昨年の関西学院大のアメフト部で甲子園ボウルに出場した小田快人や、佐賀北野球部から4年前に國學院大で箱根駅伝に出場した川副智洋など違う競技で活躍した選手もいる。この春から違うスポーツに挑戦する高校球児も多くいるだろう。彼らの活躍を心から祈念したい。
尚、一般エリートレース(2000m)で優勝した男女1名ずつが、2月24日アメリカ・カリフォルニアで行われるWorld Indoor Rowing Championshipsへ招待される。優勝者は下記の通り。
男子 勝又晋一選手(戸田中央総合病院ローイングクラブ)記録6:13.5
女子 上総香子選手(デンソーボート部)記録7:14.5
※男子国内トップの櫻間達也選手(6:12秒)は日本代表強化合宿参加の為、2位のタイムだった勝又選手が暫定優勝で世界大会に出場
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(文:馬場 遼)