プロ野球選手から球児たちへ!【元北海道日本ハムファイターズ・稲葉 篤紀氏】 ~コトダマ~
いよいよ3月に入り、春の大会も目前に迫ってきましたね。大会に向けて練習を頑張る球児に向けてメッセージを紹介する『コトダマ』企画ですが、今回は、昨年まで北海道日本ハムファーターズで活躍し、惜しまれつつ引退された稲葉 篤紀氏からのメッセージを紹介します!稲葉氏が高校時代に行っていた練習で、プロに入ってからも生きていることをお聞きした時に出たコトダマをお届けします!
稲葉 篤紀氏から高校球児へメッセージ!
元北海道日本ハムファイターズ 稲葉 篤紀氏
「高校時代にやった練習で今も生きているということは、“全力で振る”ということ。振る強さというのは、ウエイトトレーニングでは身につかないんです」
この言葉は、高校時代を振り返って、当時の練習がプロに入ってからも生かされていることについてを語っていただいた時に出てきた言葉です。
「“全力で振る”ということは、高校時代からやっていました。合わせる打撃をしない。高校の時は、長打を打つことに自信があったので、より遠くに飛ばすことを求めていましたね。そうするためには全力で振らなければならないので、その積み重ねが今でも生きていると思います。最近の子は、型にこだわりすぎて、合わせるだけの打撃が非常に多いですね。でも、振る強さというのは、ウエイトトレーニングでは身につかないんです。ウエイトは補う筋肉なんですよね。振る筋肉は、振らなければ付かないです。全力で振ることによってそれが身につく」
最近、ウエイトトレーニングを始めさまざまなトレーニングを取り入れる学校や選手が増えてきました。しかし稲葉氏は、ウエイトトレーニングは補う作業で、「振る強さ」は振らなければ身に付かないこいうことを、球児に向けてのメッセージとして送っていただきました!
この言葉以外にも、
・上達するために大事なもののお話では、「やっぱり上達するには練習量だと思いますよ。若い時にがむしゃらに練習したことが今につながっています。ただ、選手はすぐに結果を求めすぎてしまう。結果が出ないと今までやってきた練習を止めてしまい、すぐに結果が出るような練習を求めていく傾向をとても強く感じます。若い人は結果を求めることも大事なんですけど、それよりも長い目で見て、何年後かを見据えてやっていくことが大事で、長く現役を続けられる要因のひとつかなと思います」
誰しも、努力をして結果が出ないと焦ってしまい、練習方法を変えたくなるところを、「長い目で見ることで長く現役生活を続けることができる」というご自身の体験を元にした貴重な言葉でした!
・チャンスの場面で結果を残す方法についてのお話では、「僕の場合は、結果を考えずに、いかにしてチャンスを楽しむことができるか。結果はどうであれ、ここは自分しか与えられないから、どんな結果であれ、悔いを残さないように楽しもうと考えています」
稲葉氏がこの考えにたどりつくまでに、いろいろと考えることがあったそうです。転機となったのはファイターズに入団して、新庄 剛志氏に相談したところ、「いろいろ考えすぎても、しょうがないじゃない」と言われたことがきっかけ。その後、「じゃあチャンスを楽しもう、野球を楽しもう」という考えになり、徐々にチャンスでも結果が出るようになったと語っていただきました。
・勝負強さに関するお話では、
「僕は、高校時代に主将をやっていましたので、チームが勝つためにどうすればいいかという思考は常に持っていました。当然、甲子園を目指すことを第一にやっていましたので、その中で自分は何をしなければならないのか。すごくプレッシャーがかかりますし、そのプレッシャーに負けていたら甲子園に行けないです。とはいえ、僕は甲子園に行けなかったですけど、プレッシャー、プレッシャーと感じすぎるのは良くないですよね。その場面を楽しむことが必要です。みんな、失敗したらどうしようと考えすぎるので、体が動かなくなってしまうんですよね」
この言葉に加えて、練習をすることで自信をつけることも大事だとお話してくれました。「練習をこれだけやったんだから、という開き直りが出来る。自分は、『良い開き直りをする』ということは、『良い準備をする』ということだと考えています。つまり、『実戦を意識した練習が良い準備。試合では結果が出なかったら仕方ないという開き直り』が出来るか。そういう思考でいったら、良い結果につながると思います」
この積み重ねが、稲葉氏に「その場を楽しむ」という思考に変化させたのではないでしょうか。
稲葉氏が長く現役生活を続ける中で、結果を出し続けられた理由が分かる、そんなコトダマを今回は紹介させていただきました!
稲葉氏のインタビュー記事はこちら!
第129回 北海道日本ハムファイターズ 稲葉篤紀選手(前編)
第130回 北海道日本ハムファイターズ 稲葉篤紀選手(後編)
ベースボールドットコムでの稲葉氏のインタビュー記事はこちら!
第2回 北海道日本ハムファイターズ 稲葉 篤紀選手