試合レポート

神村学園vs鹿児島実

2022.03.31

3年生が2年生を引っ張る・神村学園

神村学園vs鹿児島実 | 高校野球ドットコム
神村・福田先制2ラン

<第150回九州地区高校野球鹿児島県予選:神村学園9-2鹿児島実>◇31日◇準々決勝◇平和リース

 神村学園は1回裏、先頭打者がエラーで出塁。2番・福田将大(3年)が初球を迷わず振り抜き、左翼席への特大アーチで強烈な先制パンチを浴びせた。3番・田中拓真(3年)、4番・花倉凪海(3年)の連続二塁打で3点目を挙げた。

 鹿児島実は3回表、1死二塁から3番・植戸颯大(2年)の右翼線二塁打、5番・永井琳(3年)の右前適時打で1点差に迫る。

 鹿児島実の繰り出す右腕投手陣に2、3回と打ちあぐねていた神村学園だったが「目線を下げて、押し込むように」と小田大介監督。回転の良い球威のある球を下からすくい上げるような打撃になっていたのを、上から下を見る目線に変えて、力強く押し込んでいくように打撃の修正を指示した。

 4回裏、神村学園は4番・花倉が指示通りの打撃で走者一掃の三塁打で2点を追加。5回は1死満塁から2番・福田の犠牲フライ、3番・田中拓の走者一掃二塁打、4番・花倉のタイムリーと3連続得点で4点を追加し、試合の趨勢を決めた。

 神村学園の野球には1つ1つに意図がある。強豪・鹿児島実との一戦に先発を任されたのは、鹿屋農戦で完封した朝吹拓海(3年)でも、昨年からの経験も豊富な内堀遼汰(3年)でもなく、経験の浅い2年生右腕・松永優斗。今年のチームのテーマが「結束力」(小田監督)で、いろんな選手が経験を積み、総合力で勝負して「甲子園で勝つ野球」を目指すためだ。

 松永は3回途中まで2失点とまずまずの出来で試合を作り、3回1死三塁で4番・赤嵜智哉(3年)の途中から内堀がリリーフした。

 小田監督が内堀に期待したのは「3年生が2年生を引っ張る」こと。経験と実績、持っているポテンシャルからすればエース番号を背負っているはずの内堀が10番なのは「その気持ちが弱かった」から。

 エース番号は与えられず、今大会ここまで登板機会もなく「自分が投げたい!」(内堀)気持ちを内に秘め、自分の弱点と向き合い、心身を磨いた。ここぞという場面で強気の投球ができず、昨秋の3回戦・鹿児島商戦は130キロに届かない弱気のボールを痛打され、苦杯をなめた。

 その弱点を克服し、先発した下級生の後を任されることで、後輩を引っ張っていけるのか? 最高の試金石になる舞台で今大会登板が回ってきた。

 「強気でいく」。気持ちにブレはなかった。少々制球が定まらず、球が荒れて球数が増えるのも持ち味。3回途中から投げて、7回2死まで、任された場所で得点を与えなかった「お前のボールなら絶対抑えられる!」。ベンチの小田監督も常に言い聞かせてくれた。

 攻守ともまだまだ課題は山積みだが、勝ったことでもう1試合、成長するチャンスを得た。

(記事=政 純一郎

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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2 Comments

  1. 須田寿 kyoeibb@Yahoo.co.jp

    2024-04-26 at 8:43 PM

    花倉凪海、明日は飯能で流通経済大との試合。
    本塁打叩き込め❗
    凪海は宮崎敏郎二世だ‼️

  2. 樽井盛幸 (桶川東中学校元教頭・69歳,2014年度を以て退職 )

    2024-04-26 at 8:47 PM

    神村学園、強さを出してるね
    今はやはり正林輝大君に注目

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