試合レポート

浦和学院vs花咲徳栄

2021.09.29

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浦和学院がライバル対決に圧勝し5年ぶり秋制覇!

浦和学院vs花咲徳栄 | 高校野球ドットコム
浦和学院の先制シーン

 浦和学院花咲徳栄、埼玉県内のライバルが秋は5年ぶりに相まみえる。5年前の秋と言えば、清水、綱脇、西川、野村など後に花咲徳栄が全国制覇した代と浦和学院は左腕・佐野や本格派右腕・渡邉、蛭間が1年生時の直接対決第1ラウンドである(この代は春も夏も決勝で対決した)。その時は互いに本気度の高いゲームを行い延長の末浦和学院が制したが今回はどうか。

 まずはスタメンだが、花咲徳栄は投手以外前の試合と同じスタメン、一方の浦和学院は前の試合9番の喜屋武夢咲(1年)を6番に上げ、9番に森塁(2年)を入れる。

 先発は花咲徳栄が背番号10の右腕・鈴木羚也(2年)、一方の浦和学院は右サイドの金田優太(2年)が先発し試合が始まる。

 先制したのは浦和学院であった。
 浦和学院は3回裏一死から1番・八谷晟歩(2年)が出塁すると、続く大内碧真(2年)もセンター前ヒットを放ち一死一、二塁とする。

 さらにこの打球をセンターが後逸する間に一走・八谷が一気に本塁を奪いまず1点、3番・金田の打球をファーストがファンブルし(記録はヒット)1点を追加する。さらに二死二塁から5番・高山維月(2年)がライト前タイムリーを放つなど浦和学院が相手のミスに乗じ3点を先制する。

 これで流れを掴んだ浦和学院は、4回裏にも、この回先頭の宮城誇南(2年)がライト前ヒットを放ち出塁すると、続く森がきっちりと送り一死二塁とする。ここで1番・八谷がセンター前タイムリーを放ちまず1点、続く大内も犠打を決め二死二塁とすると、3番・金田がライト前タイムリーを放ち5点差をつける。

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浦和学院・金田優太

 浦和学院は5回裏にも一死から喜屋武のセンター前ヒットを皮切りに二死一、二塁から9番・森がセンター前タイムリーを放ち6対0とする。

 一方、花咲徳栄の反撃は6回表、先頭の山田慎之介(2年)が死球で出塁すると、一死後3番・藤田大清(2年)も四球を選び一死一、二塁とする。二死後、5番・増田空(1年)がセンター前タイムリーを放ち1点を返す。

 だが、浦和学院はその裏、この回からマウンドに上がった花咲徳栄の2番手左腕・飯島大聖(1年)を攻め、この回先頭の大内が四球を選び出塁すると、続く金田がレフト前ヒットを放ち無死一、二塁とする。4番・伊丹一博(2年)がきっちりと送り一死二、三塁とすると、続く高山の内野ゴロの間に1点を取り再度6点差とする。

 浦和学院は8回裏にも、一死から相手のエラーを足がかりとし、4番・伊丹、5番・高山、6番・喜屋武の3長短打に代打・渡邉聡之介(1年)の犠飛などで一挙3点を奪いダメを押す。

 投げては、先発・金田が強打の花咲徳栄打線に対し、7回5安打1失点に抑えると、8回以降は左サイド・芳野大輝(2年)、最終回は右腕・浅田康成(2年)の継投で逃げ切る。

 結局、浦和学院が10対2で花咲徳栄を下し5年ぶりの優勝を飾った。

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優勝した浦和学院

 まずは浦和学院
 「新体制で不安のほうが大きかった。前監督が初采配で優勝していることは、私にとって別物と考えていた。とにかく自分自身が今出来ることを、と思って取り組んできたんですが、色々な方々に支えられここまで来てホッとしています。
 近年の埼玉県での王者は花咲徳栄だと思っている。(自身が早稲田大出身ということを準えて)花咲徳栄とのライバル関係は”早慶戦”のようなもの。関東が決まっているとかではなくライバル対決として相応しい戦いをしようと試合前に伝えた。

 準決勝で打ちあぐねた経験を踏まえてとにかく打席上で工夫をしようと。自分のポイントにボールを呼び込む。鈴木君はカットボールが良かったので打席の後ろに下がって、そのボールを見極めるということを選手達で話し合っていた。このあたりは少しずつ“自律“の部分が垣間見えたかなと。
 金田は合格点。甲子園が終わって打撃が不安だったのであえて”売り”にしようと取り組んだ。合わせるのではなく振り切ることがこの日は結果単打になった。打力はもちろん、関東大会までには今日のショートの部分も含めた守備力向上を目指します」
と、森大新監督は早速県内一つ目のタイトルを勝ち取り安堵の表情を浮かべていた。

 これで浦和学院は今年度を県内無敗で終えた。新チームではまずエース宮城、右サイドの金田の二枚看板が残っているのが大きい。この日も15安打を放つなど打線も活発で、八谷、金田、宮城の甲子園組はもちろん、その前後を打つ打者も総じて好調をキープしている。

 あとは、今大会いま一つであった4番・伊丹も長打が出るようになると、いよいよ手が付けられなくなる。一つあえて課題を挙げるとすれば、新チームも2ポジション制を取る浦和学院にとって、金田が登板した際のショートが安定しないことか。関東大会が始まるまでの一ヶ月間でそこは固めておきたい所であろう。


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準優勝の花咲徳栄

 一方の花咲徳栄
 「守備のミスが痛かった。ただ、打つことを中心にやって来たので細かい所まで手が回らなかった。攻撃面はスタートから考えると現状ではここまでが精いっぱい。
 金田君のような投手が来た時に2,3点取れるようになれば十分戦えるんだけど。そういう意味では今日の試合は良い勉強になった。センバツ云々ではなく次につながるように自分達の力を上げないと春も夏もない。まだ力がないそれだけです。
 1年生の増田は頑張っていたんだけど、特に1,3,4番の2年生の奮起に期待です。旧チームが良過ぎたので、それを考えると、この代はよくここまで上がって来てくれたかなと」
と、岩井監督は敗戦にもサバサバとした表情で現状を受け入れていた。

 この日鈴木はまずまずのピッチングをしていたが、とにかくこの日は守備が乱れ3失策の他にも見えないエラーが散見されるなど試合の流れを失った。エース金子は安定しているだけに関東大会までにまず取り組む課題は守備の整備であろう。

 打線は新チーム結成当初は厳しい状況であったが、大会を勝ち進むたびに迫力が増していった。5番・増田が安定した力を発揮したのも大きかった。とはいえ、前の試合喝を入れられ爆発したかに思われた1番・山田、3番・藤田はこの日ノーヒットと完全復活とは言えない。まだまだ調子の波があり道半ばと行った所か。この1か月間でどれだけ実戦経験を積めるかが関東大会の上位進出への鍵となる。

 前評判の高かった、山村学園武南が地区予選で敗れ、県大会に入ってからもBシード・昌平が初戦敗退を喫するなど、今大会はやや波乱含みのスタートであった。

 だが、決勝は浦和学院花咲徳栄という埼玉の2強に落ち着いた。2強が揃ってセンバツを目指すのは5年ぶりとなるだけに、2強の関東大会での爆発に期待したい。

 また、来春のシードを獲得したベスト8の顔ぶれを見ると、半分が南部の高校であり現状では南部が優勢だ。とはいえ、シード落ちした高校には前述の3校に春日部共栄西武台立教新座なども含まれるため、来春以降どの地区が優勢になるかはこれからの各チームの取り組み次第となる。

 最後に、狭山清陵が3回戦進出も新型コロナ感染により大会辞退があったが、その後は目立った混乱なく無事に大会を終えられた。高野連を含め全ての大会関係者に敬意を表したい。

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増田空(花咲徳栄)

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鈴木羚也(花咲徳栄)

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閉会式の模様

(取材=南 英博

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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