試合レポート

桐光学園vs鎌倉学園

2021.09.12

この試合のプレー写真は、記事の最終ページの下部に表示されています

桐光学園、県内屈指の好投手を攻略し、ベスト8へ

桐光学園vs鎌倉学園 | 高校野球ドットコム
1番セカンド・篁哲郎(桐光学園)

 昨秋、準優勝の鎌倉学園と春準優勝の桐光学園の一戦。試合前から両チームともにかなり気合が入っている姿が見られた。

 この試合は桐光学園の野手陣がハイレベルなパフォーマンスで鎌倉学園を破った。

 3回裏、桐光学園の1番・篁 哲郎がレフト越えの二塁打でチャンスを作り、3番米山幸汰の犠飛で1点を先制。さらに4回裏にも4番石井の2点適時打などで4対0とする。

 5回表に2点を失ったが、その裏、バッテリーミスから1点を追加。8回裏には米山の貴重な左前適時打で6点目を挙げた。

 ここまで攻撃面のキープレイヤーを挙げると、1番篁、3番米山だろう。篁は2本の長打を打ったように対応力が非常に高い。速球にもついていくことができて、スイングも鋭く、遊撃の守備も安定ている。

 「まず先制点が欲しい場面だったので、しっかりと捉えることができました」と先制打の場面を振り返り、4回裏には痛烈な二塁打を放った場面については「速球投手(松本)との対戦でしたが、1年生から経験をさせてもらっているので、普段の練習からエースの針谷と対戦をしているので、そんなに速球への対応に苦労しなかったです」と語る。

 攻撃、守備どちらでも起点となるプレイヤーで、1回表にはピンチの場面でポジショニングの良さを発揮してライナー併殺を呼び込んだ。

 また篁の状況判断能力の高さを象徴する場面があった。ピンチであれば、ベンチの指示を待たず、内野手、バッテリーをマウンドに集めて、話し合った。桐光学園の野呂監督は篁の経験値、視野の広さを高く評価しており、マウンドに集めることも任せているという。篁は「1年生から経験をさせていただいているので、ああいった声掛けはやらせていただいてます」と語る。

 また3番・米山も痛烈な適時打を打ったように、インパクトに対してインサイドアウトで振り抜く打撃が魅力だ。その他にも攻守にバランスが取れた好捕手・石井など守備力が高い選手が多くいる。

 3回途中からマウンドに登ったエース・針谷は連投にも粘り強い投球を見せた。常時120キロ後半~130キロ中盤の速球は、指にかかった時はキレを感じさせた。連投の影響もあり、球威はなく、振り抜かれる打球も非常に多かったが、要所で締める投球で、経験値の高さを実感させられる投球だった。野呂監督も「良くも悪くも針谷らしい、粘っこい投球でした」と持ち味を発揮したエースの投球を評価した。

 次は桐蔭学園との対戦が決まった。前チームからの経験者が多く、かなり強力なチーム。激しい一戦が期待できそうだ。

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実力校・鎌倉学園に来年の神奈川を代表する可能性のある大型右腕が!

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松本直(鎌倉学園)

 敗れはしたが、鎌倉学園は春、夏も躍進を予感させる戦いぶりだった。

 まず目についたのは3回途中から登板したエースの松本直だ。180センチ87キロと、ひと目見て際立つ体格の良さがある。さらに投球フォームでも横移動が上手く、振り下ろすタイプの右オーバーハンドと、まさにスカウト好みだ。

 ストレートは高校2年生にしてはレベルが高く、常時130キロ中盤~138キロで、140キロが1球、最速142キロが1球と、リリース、体重移動がしっかりとハマった時のストレートは絶品だ。11日の3回戦でも登板した影響もあり、本調子ではなく、コントロールもあまり良くはなかったが、2年秋の時点では合格点といえる内容だ。

 120キロ前半のスライダー、縦系の変化球、110キロ台のカーブを投げ分ける。ただ、コーナーで攻めたい時にしっかりとストレートがコマンドできず、桐光学園の打者に見送られ、ボール先行となって痛打を浴びていた。

 切り替えて6回、7回で無失点に抑えたものの、8回裏に1点を取られ、降板となった。それでもポテンシャルの高さは十分に示した。

 横浜都筑シニア出身で、入学当時から球速こそ出ていたが、コントロールに苦しみ、1年秋の関東大会ではベンチ入りメンバーから外れた。竹内監督はそこからの努力が素晴らしかったと語る。
 「関東大会でベンチを外れた悔しさを糧にここまで上がってきた彼の努力は本当に素晴らしかったです。もちろんコントロール、メンタルの調整、相手との駆け引きなど課題は多くありますが、また成長してくれると期待をしています」

 力投のエースを労った。もちろん松本はこのままで満足いかない。
 「今のままベスト16止まりの投手なので、ここから上にいくためにコントロールなどを磨いていきたいです」

 鎌倉学園で、これほどの大型投手は初めてだ。鎌倉学園といえば、長田秀一郎(元西武)というプロ入りした投手がいたが、そういった高いステージで勝負できる投手であることは間違いないだろう。来春までどんな成長をたどるのか、本当に楽しみな投手だ。

 鎌倉学園は松本以外にも好選手が多く、好打のセカンド・目崎裕大、俊足強肩のライト・根来奏宇、シャープなスイングから快打を連発する快足センター・佐々木晴生と楽しみな選手が多くいた。

 竹内監督は「まずこのような状況下で、大会を開催できたことだけでも感謝ですし、そういう中でベストメンバーで臨めたことは良かったです。桐光学園さんの試合運び、今回の試合内容を見て、うちは一から鍛え直していきたいと思います」

 複数投手もいて、打線も活発で、県内トップクラスのポテンシャルを持った投手がいる。来年は甲子園を狙える優勝候補に取り上げられる存在となれるか注目だ。

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力投を見せる針谷隼和(桐光学園)

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桐光学園対鎌倉学園のスコア

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(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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