試合レポート

浦和学院vs立教新座

2021.07.23

浦和学院投手陣の好投を引き出した「代理監督」

 [stadium]県営大宮球場[/stadium]の第一試合は優勝候補・浦和学院立教新座という打線に自信を持っているチーム同士の一戦となる。

 まずスタメンだが、浦和学院はこの日8番に松田大成(3年)を入れる。一方の立教新座は、この日キャッチャーに鈴木暉(3年)を起用する。

 先発は浦和学院吉田匠吾(3年)、一方の立教新座は2年生右腕・桶本頼(2年)が登板し試合が始まる。

 試合は意外な展開となった。

 浦和学院・吉田匠は序盤からmax140km前後の直球に縦の変化球が冴え、強打の立教新座打線に対し序盤3回で6奪三振と三振の山を築く。一方、立教新座・桶本も脱力したフォームから投じる動く直球と縦の変化球を低めに制球し浦和学院打線を打ち取る。

 試合は両投手の好投もあり無得点のまま試合が進む。

 最初に大きなチャンスを掴んだのは立教新座であった。

 立教新座は4回表、一死から4番・金子永(2年)が死球で出塁すると、続く佐藤駿(2年)がレフト前ヒットを放つ。さらに相手ワイルドピッチで一死二、三塁とチャンスが広がると、さらに6番・南木力斗(3年)も四球を選び一死満塁とする。だが、後続が連続三振に倒れ大きな先制機を逃す。

 先制したのは浦和学院であった。


 4回裏、浦和学院はこの回先頭の吉田瑞樹(3年)がレフト前ヒットを放ち出塁すると、続く藤井一輝(3年)の所で浦和学院ベンチはエンドランを仕掛ける。すると、藤井は相手の失投を見逃さず、高めに浮いた変化球をうまく引っ掛けライトスタンドへ2試合連続となる先制2ランを放ち2点を先制する。

 立教新座はこれを受け5回からエース髙橋龍太郎(3年)をマウンドへ送る。髙橋もこの日は直球が走っており、その後の浦和学院打線を1安打無失点に抑える投球を披露する。

 一方の浦和学院の先発・吉田匠も、その後立教新座打線に対し三振を奪い続け、結局5回で11奪三振を奪う。

 やや三振も多くなり球数も増えたため、森監督は当初6回表の頭から左腕・芳野大輝(2年)を登板させる予定であった。だが、森監督から「代理監督」と命名され信頼も厚い正捕手・吉田瑞の進言により、6回表一死を取った所で2年生左腕の芳野へスイッチする。

 芳野も期待に応え、6回以降立教新座打線を無得点に抑える好投する。

 このままでは終われない立教新座は、最終回一死から6番・南木力斗(3年)が死球で出塁すると、続く髙木洸貴(3年)もレフト前ヒットを放ち一死一、二塁とチャンスを広げる。だが、代打・北村建人(3年)は三振に倒れると、あと一人となり、浦和学院ベンチは満を持してエース宮城誇南(2年)が登板する。

 最後は宮城がきっちりと締め浦和学院が2対0で立教新座を下し準決勝へ駒を進めた。


 まずは、立教新座だが、桶本、髙橋の両投手は良く投げた。だが、この日は頼みの打線が4安打16三振と不発であった。
「追い込んでから甘いボールが来ない。序盤は変化球に対しゾーンを上げて対応していたんですが、良い高さから落ちて来るんでわかってはいても手が出てしまう」
と、冨部監督もお手上げだったようだ。幸いクリーンアップは全員2年生。この日先発し好投した桶本も含め良い選手はいる。特に主砲・金子には
「良い投手の一番良いボールを捉えられるようになって欲しい」
と、冨部監督も期待をかける。彼らの秋以降に期待したい。

 一方の浦和学院だが、この日は投手陣が引っ張る形となった。吉田匠はこの日直球が走っており、それがその他の変化球を生かす投球となった。「代理監督」もリードしやすかったのではなかろうか。2番手以降の投手も危なげない投球を見せていたが、それも「代理監督」の存在あってこそだ。ただし、この日少しあたりが止まってしまったことはやや気になる。というのも、明日の相手は春日部共栄だからだ。主に平成時代何度もぶつかったライバル対決が待っているだけに、明日は打線の復調がキーとなる。

(文=南 英博

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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