試合レポート

上尾vs立教新座

2021.05.01

188センチの大型右腕・中澤が16奪三振の快投!上尾がベスト4へ

上尾vs立教新座 | 高校野球ドットコム
先発・中澤颯汰(上尾)

 188センチの大型右腕・中澤 颯汰が16奪三振の2失点完投勝利を決め、はずみがつく1勝となった。

「中澤にとっては大きな試合となりました」

 上尾の高野監督は完投勝利の中澤を大きく讃えた。

 今年の上尾の中でも一際目立つ長身投手。188センチ77キロという恵まれた体格には大きな可能性を感じさせ、最速139キロを誇る中澤が投げ込むストレートは素晴らしいものがあった。

 バランスよく左足を上げていき、右足の膝を適度に曲げてバランスよく立ち、その後、長身投手としては滑らかな体重移動から真っ向から振り下ろす豪快な投球フォーム。ストレートは常時130キロ前半〜136キロをマーク。チームのスピードガンでは138キロを計測。長身を生かした角度のあるストレートは計測以上の質の良さを感じさせてくれた。さらに120キロ前後のスライダー、スプリット、110キロ前後のカーブの精度も高く、ストレート、変化球で次々と三振を量産した。

 昨秋の時点で最速134キロ。130キロを超えることも少なかった。このままではいけないと思い、このオフは体作りに着手した。食事では満腹の上にさらにもう1品。そしてプロテインの摂取量も増やしていった。その結果、7キロも増量。投球フォームにも力強さが加わり、長いイニングを投げられるスタミナも身についた。そしてベストパフォーマンスを発揮するために睡眠時間も検証し、8時間睡眠ならば力も発揮できることに気づいた。

 自分のポテンシャルを引き出すために何をすべきかを考えた半年間の成果が最高の形で発揮した。今年の上尾は昨秋から大事な場面で投げ続けてきたエースの新井 陸斗がキーマン。夏まで新井以外の投手が台頭できるかが課題だった。中澤はもともとエースピッチャーとして期待された投手で、その期待に違わぬボールを投げ込んでいる。高野監督によると良い時、悪い時の差が激しい投手のようだったが、この日はそれを感じさせなかった。そこには「新井に頼りすぎてしまったところがあり、なんとしてもゲームを作りたい。勝ちたい」その思いだけだった。

 高野監督としては行けるところまでという想定だったが、結局、162球投じて、16奪三振の完投勝利となった。夏へ向けて大きな1勝となった。

 敗れた立教新座は接戦を演じた。ベンチにいる選手たちが前向きな声かけをしているのがとても好印象だった。
 富部監督は「今年の選手たちは突出とした能力を持った選手はいないのですが、その分、まとまりがあって、何事にも一生懸命できる選手が多いのが特徴です。だからこそ格上とも呼べる相手にも勝つことができました。とはいえベスト8に入った学校の中でも力はかなり劣るので、すべてにおいて課題はありますが、その分、良い経験はできたと思います」とベスト8まで勝ち進んだからこそ見えた課題はあった。夏まで見逃せないチームとなるだろう。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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