試合レポート

岩倉vs実践学園

2021.04.05

接戦制した岩倉、敗れた実践学園ともに逸材が活躍見せる!

岩倉vs実践学園 | 高校野球ドットコム
3番セカンド・高畠雅裕(岩倉)

 [stadium]駒澤球場[/stadium]の第3試合は岩倉vs実践学園の一戦。第1試合は都立小山台、第2試合は帝京といった注目校が登場したが、一番のゲーム内容だった。とにかくく選手がそろっている。

 結果としては岩倉が3対2で逆転勝利したが、敗れた実践学園も、ノーシードに回った帝京国士舘早稲田実業に負けていない戦力だといえる。

 まずは岩倉から紹介していきたい。6回まで2失点の力投を見せた背番号1の古坂虎汰朗(3年)。180センチ76キロと恵まれた体格。上半身の力が強すぎて、フォームのバランスもはまらず、外野手でプレーしていたが、ようやくバランスがととのったことで、投手を務めるようになった。

 左腕のグラブを高々を掲げ、真っ向から振り下ろす投球フォーム。非常に癖のあるフォームで、体のバランスが整わないと故障のリスクが高まりやすい投手であることはよくわかる。

 常時130キロから136キロ程度の直球、110キロ前半のスライダー、120キロ近いフォーク。このフォークが良く決まり、強打者ぞろいの実践学園打線を打ち取ることができていた。コントロールはまだばらけているが、将来的には140キロ以上の速球を投げる可能性を持っている。

 7回裏からマウンドに登ったのはセカンドの高畠雅裕。174センチ73キロ。一見、細身のように見えるが、筋肉質の体型をした選手で、野球センス、身体能力ともにチームトップクラス。打者としてはインサイドアウトのスイングで振りぬく打撃が見事。

 投げては120キロ後半から132キロの直球、スライダーを器用に投げ分ける。セカンドの守備も機敏で、野球関係者も注目する選手になるのではないか。

 また代打中心だが、久保田真梧は180センチ115キロと当時の渡部健人(埼玉西武 東京日本ウェルネス出身)を思い出す右打者。9回表に起死回生の同点適時打を放った。打席に入った時の集中力が素晴らしく、チームでは一番の本塁打を放っている。

 本来はレギュラーなのだが、自粛期間があった影響で、体の切れを取り戻している最中。しっかりと調整ができれば、スタメン出場も十分できる選手だ。何より常に笑顔でキャラクター性は抜群。いずれ人気になる選手となるだろう。



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先発・菅沼麟太郎(実践学園)

 敗れた実践学園は多くの打者が下から救い上げるスイング。「フライ革命」が入っているのか、非常に鋭いスイングができる打者が多かった。その中でも目を引いたのが、3番・吉村昇摩、4番・後藤朝日の2名は際立つものがあった。

 吉村はスクエアスタンスで構え、トップを深くとってひねりを入れた打撃フォームから縦振りのスイングで、打球をとらえるノーヒットに終わったが、打撃のメカニズムは良いものがあり、今後も期待が持てる打者だ。

 そして4番・後藤は6回裏にライトへ大きな2ラン。後藤も歩幅を少し広くとったスクエアスタンスから、強いスイングができる。押し込みが強く、都内では注目の強打者に入るだろう。

 惜しくも完投負けをしてしまったがエースの菅沼麟太郎は173センチ70キロと小柄ではあるが、右スリークォーター気味から鋭く腕を振って投げる投手。体の使い方が実にスムーズで、常時120キロ後半から136キロを計測。

 終盤でも130キロ中盤を計測しており、スタミナはあり、110キロ前後のスライダーを投げ分け、岩倉打線を打ち取っていた。走者を背負っても慌てることなく、低めに投げて打たせてとることができており、9回表の逆転された場面も、コーナーに投げて集中力は維持されていた。

 投打の軸がいる実践学園。夏も怖いチームとなりそうだ。

(記事:河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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