試合レポート

都立城東vs早大学院

2018.10.08

都立城東、先制スクイズから早大学院を一気に攻略

都立城東vs早大学院 | 高校野球ドットコム
城東4番・三好秀登

 1次予選で明大中野八王子を破った早大学院と、日大二を破った都立城東の対戦。しかし早大学院はエースの友貞裕介が肩を壊し、長いイニングは投げられないうえに、本来の4番である佐久間太雅が負傷で出場できないなど、台所事情は厳しい。それでも先発の大瀧駿平が走者を出しながらも得点を許さない。

 一方都立城東は、投手でありながら打順は1番という背番号7の左腕・兼松千春が、コーナーを丁寧に突き、序盤は両チームとも、得点が入らない。

 しかし4回裏、早大学院の大瀧は、この回先頭の都立城東の3番・今井大和に四球を出して、リズムが狂い始める。続く4番・三好秀登の犠打は一塁手の失策を誘い、さらに6番・陶直史が四球で一死満塁とし、7番・松崎大育はスリーボールワンストライクからの5球目を何とスクイズ。これが内野安打になり、都立城東が1点を先制した。それにしても、満塁からのスクイズとは、かなり大胆な作戦であるが、内田稔監督は、「(満塁のスクイズは)初めてやりました。決まったのはまくれです。弱いから奇策をしないと」と語る。

 このスクイズを突破口に、8番・木村海樹、9番・峰岸佑と安打が続き、この回都立城東は3点を入れて、試合の主導権を握る。

 都立城東の強みの一つが、前のチームでも中心選手であった捕手の三好が残っていること。三好の兼松の良さを引き出す好リードで、早大学院に付け入る隙を与えない。ただ兼松が6回裏の打席で死球を受け、その次のマウンドである7回表に安打3本を許し、一死満塁のピンチを迎えたが、早大学院の1番・八巻泰介がスリーボールからの4球目を打ち、三塁ゴロの併殺なり、得点を与えない。

 しかも、早大学院は7回表の攻撃で、2番手投手の渡邊智也に代打を出した関係で、やむを得ず、7回裏に肩を痛め万全ではないエースの友貞を投入した。しかし友貞はこの回先頭の都立城東の3番・今井に四球を与え、二死にはなったものの、代打・島川大輝に右中間を破る三塁打を打たれ、1点を失う。

 8回表早大学院は、疲れがみえ始めた都立城東の兼松を攻め、2番・甲崎孝裕の四球、3番・岡原悠斗の左前安打に続き、4番・薗部将大のレフト線への二塁打で1点は返したものの、得点を追加できない。

 その裏都立城東は、走者2人を置いて、2番・原川雄仁の右中間を破る三塁打で2点を追加。ここで早大学院は4番手として小泉唯人を登板させるが、4番・三好の左前安打で1点を追加し、四球で走者をためた後、8番・木村の打球がライトへの長打になるような当たりになり、8回裏でのコールドゲームが成立した。

 早大学院は、主力の負傷が響いた面があるものの、木田茂監督が「自ら転げ落ちたのでは仕方ない」と語るように、ミスが痛手になった。早大学院は、グラウンドが狭いからこそ、そうした環境でもできるバント守備の練習などを徹底してほしい。

 一方、都立城東の内田監督は、「下手が一生懸命やっている」と、実力的には手応えがないものの、熱心さは評価している。内田監督が都立城東の選手時代の恩師で、現在、都立足立新田の監督である有馬信夫は、「落ち着いてきました」と、指導者としての内田監督の成長を感じている。派手さはなくても粘り強い、都立城東野球は、この秋の大会の間でも、成長をしていく可能性は十分にある。

(文:大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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