試合レポート

二松学舎大附vs上野学園

2018.09.16

二松学舎大附、新4番の秋広 二塁打2本の活躍で7回コールド発進

二松学舎大附vs上野学園 | 高校野球ドットコム
夏の甲子園も経験した海老原凪(二松学舎大附)

 昨年の秋は1次予選の初戦で東海大菅生と対戦した二松学舎大附であるが、この秋も1次予選は、厳しいブロックに入った。初戦の相手は、夏はシード校であった上野学園。昨夏の東東京大会・準々決勝の再戦であり、球場には大勢の観客が詰めかけた。

 二松学舎大附は甲子園大会に出場したため、新チームの結成は、他のチームより1カ月近く遅れた。それでも、夏の経験者が多いのがこのチームの強みだ。もっとも市原勝人監督は、経験者とそれ以外の選手の目線の違いを気にかける。とはいえ、そこは選手層が厚い二松学舎大附。夏のメンバー以外にも、注目すべき選手がいた。

 この試合の二松学舎大附の先発は左腕の海老原凪、捕手は山田将義と、甲子園を経験した2人がバッテリーを組む。しかし1回表、上野学園の2番・鈴木健斗の二塁打、3番・藤﨑輝の中前安打などで一死満塁となる。上野学園の小川貴智監督は、「スクイズも考えましたが、しっかり振っていくことを選択しました」と語る。けれども、海老原が踏ん張り、無得点。上野学園としては、数少ない好機を生かすことができなかった。

 その裏、二松学舎大附の攻撃。上野学園は「制球が良く、試合を作れる」(小川監督)ということで、下手投げの鈴木遼也を先発のマウンドに送った。
 二松学舎大附は2番・有馬卓瑠の左前安打、3番、新主将の右田稜真の二塁打で一死二、三塁とし、打席には身長198センチと大柄な、新4番の秋広優人が入る。秋広は昨夏の主力であった秋広涼太(現中央学院大)の弟である。
 公式戦初打席の秋広は、3球目を叩くと、センターへの高い飛球になった。上野学園の中堅手が捕球できず、二塁打となり、二松学舎大附が2点を先制する。

 2回裏には、右田の2打席連続の二塁打で2点を追加した後、秋広の右前適時打でさらに1点を追加する。秋広は6番・三瓶慎也の二塁打で生還する。
 秋広は6回にも二塁打を放っており、4打数3安打、二塁打2本と、この夏のメンバーではない1年生ながら、4番に抜擢した市原監督の期待に応えた。今回は一塁手での起用であるが、「まだ体が強くないけれども、いずれはピッチャーにしたい」と市原監督。この日の3安打は、決して会心の当たりではなかったが、打球を運ぶ、柔らかさも併せ持っている。

 二松学舎大附は5回にも1点を追加し、7-0の7回コールドで初戦を突破した。海老原は立ち上がりがやや不安定であったが、2回以降は立ち直り、7回を被安打5、奪三振8で無失点。野村昇太郎、有馬、右田、秋広、揚野公匠と続く打線は迫力があり、力は東京ではトップクラスだ。けれども、次の相手は東海大高輪台。昨夏の東東京大会の決勝戦の再戦であり、いきなり好敵手との対戦になる。

 敗れた上野学園であるが、4回から登板した赤坂諒は、左足の腓骨骨折でこの夏のメンバーから外れたが、140キロ台半ばという直球には力があり、今後が楽しみだ。
 公式戦の初戦はコールド負けであったが、「いいレベルを見させてもらいました」と小川監督。負けた悔しさの中にも、ポジティブシンキングのチームだけに、良い経験になったに違いない。

(文=大島 裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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