試合レポート

関東一vs堀越

2014.07.20

延長10回、堀越との死闘を制した関東一 ベスト8進出!!

  勝負は最後までわからない。
スポーツの世界ではよく使われる言葉だ。むしろ使い古されている感すらある。
しかし、今日の試合ではまさにその言葉がぴったりの試合となった。

 9回裏を迎えてスコアは7対1。関東一がリードを奪っていた。9回までに関東一は先発全員安打の14安打。特に1番オコエ瑠偉が4安打。3番五十嵐 滉希はライトへ目の覚めるような弾丸ライナーで一発を放つなど、完全に堀越投手陣を圧倒していた。
9回裏、関東一はセンターのオコエを下げ、臼井へ。ファーストの五十嵐を下げ大川を入れる。

 しかし、今大会で3回戦では実践学園に、4回戦ではに逆転で勝ち上がってきた堀越。決して諦めていなかった。
この回先頭の四番藤井誠がしぶとくヒットで出塁すると、ここから反撃が始まる。堀越は藤井に変えて代走石井清之助が入る。5番入山功大は倒れるも6番鈴木勇飛が死球で続く。そして7番澤井将基がレフト前ヒットを放ち、石井がかえり1点を返す。なお1塁3塁とチャンスは続く。ここで堀越は8番渕上佳輝に変えて代打・高安雅考を送る。その高安はレフト前ヒットで続き、更に1点をかえす。
これでスコアは7対3。この時点ではまだ関東一にも余裕があった。

 そして打席には9番奈良原稔也が入る。奈良原の打球は投手安部の前へ。誰もが万事休すかとおもったが、奈良原が一塁に残り、2アウトながら1.3塁とする。なんとか首の皮一枚でつながった堀越。打席にはここまでノーヒットの1番瀬沼拓夢。瀬沼は初球を振りぬくと左中間を破るタイムリーツーベースヒット。ファーストランナー奈良原もかえり、2点差に。


 このヒットで完全に流れも変わった。もっといえば、球場の雰囲気も変わった。堀越の逆転への期待が球場全体を支配していく。同時に関東一のブルペンも慌ただしくなってくる。そして打順はクリーンアップに。

 流れを切りたい関東一は、ここで投手を阿部武士から田邉 廉にスイッチ。
しかし、一度大きな流れにのった堀越打線の勢いは簡単に止まらない。続く高木翔伍の打球は右中間に飛ぶ。これをセンター臼井 昂平とライト熊井智啓が交錯し、三塁打に。2塁ランナー瀬沼がかえり、ついに1点差まで追い上げる。いよいよ逆転が現実的に見えてきた。
ここで残念なことにこのプレーで熊井は負傷交代。代わりに大内巧がライトにはいる。

 そして打席には3番吉田元
吉田の打球は詰まった当たりでセカンドへ。セカンド篠田泰成が前進して捕球しジャンピングスロー。しかしこれがまさかの悪送球に。この間に高木がホームを駆け抜けた。
こうして6点差あったゲームは、土壇場でついに堀越が同点に追いついた。
関東一サイドからみると悪夢。堀越サイドから見ると奇跡の展開。
湧きに湧く堀越ナイン。スタンドも大盛り上がりだ。


 そして試合は延長へ。お互いに主力選手をベンチにさげており、ここからは総力戦になってくる。

 堀越はマウンドに背番号18の吉田優亮を上げる。吉田は今大会初登板となる。
仕切り直しの10回表、関東一は1アウトから前の回で交錯して退場した熊井に代わりライトに入った大内がセンター前ヒットで出塁する。
大内はゲームに入る際に担架で運ばれる熊井の胸をぽんとグラブで叩き守備位置に入った。熊井と一緒に戦っている。そんな気持ちがバットに載せたヒットだった。
続く田邉は三振も大内は盗塁に成功しチャンスを広げた。そして1番臼井はデッドボールで次につなぐ。

 ここで打席には2番篠田。9回の汚名を晴らすチャンスが回ってきた。篠田は1ボールからの2球目をセンター前へ運ぶ。
この打球で、大内がサードを回り、ホームイン。関東一が勝ち越しに成功した。塁上で喜びを爆発させる篠田。まさに執念の一打だった。

 勝ち越しに成功した、関東一
10回裏、後がなくなった堀越は先頭入山が2塁打で出塁。しかし続く鈴木がが犠打を試みるも、入山が三塁で憤死。これで万事休す。関東一が粘る堀越を振り切り準々決勝へと駒を進めた。

 関東一14人、堀越が19人を動員。さらにベンチ・スタンド一体となりお互い総力を尽くした戦いは最後は関東一に軍配が上がった。
試合終了のあいさつでお互いをたたえあう両校ナイン。力を出し切ったという姿が印象的だった。

 関東一をあと一歩まで追い詰めた堀越
勝負は最後までわからない。

(文=二宮 清司

【野球部訪問:第129回 関東一高等学校(東京)】

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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