試合レポート

実践学園vs日体荏原

2014.07.14

実践学園・尾林、丁寧な投球で完投、再試合を制する

 人工芝の[stadium]明治神宮球場[/stadium]から内野は土のグラウンドである[stadium]市営立川球場[/stadium]に、場所こそ変わったものの、12日に延長12回2対2の引き分けを受けて行われた再試合は、12日の試合に劣らぬ好試合だった。

 この日の試合も、12日と同じように実践学園が先攻、日体荏原が後攻。
メンバーは実践学園が7番右翼手・奥友勇人に代わり5番右翼手として佐藤孔志が入り、12日5番だった関口方大は4番に、4番だった石橋英育は6番に、6番だった小林幹太は7番に入った。

 一方日体荏原は、8番二塁手の石川政明に代わって、2番二塁手として古川司盛が入り、2番だった保坂重頼は5番に、5番だった村越将太は3番に、3番だった森村光は6番に、6番だった田中和麿は7番に、7番だった佐藤圭太は8番に入った。
12日の試合では、チーム全体の19安打のうち、1番植松諒、4番関幸一郎、5番だった村越が各4安打の12安打を放っている。
植松、関、村越をどう生かすかに重点が置かれたメンバー変更になった。

 先発投手は日体荏原5633実践学園尾林直幸と、両校とも12日の試合と同じであった。
そして序盤の展開も、12日と同じように引き締まった展開になった。


 実践学園は2回表先頭打者の4番関口が中前安打で出塁するも無得点に終わると、日体荏原も2回裏に4番関が、3回裏には8番佐藤が先頭打者として安打で出塁したが、得点できなかった。

 実践学園の先発・尾林は、低めを丁寧に突く緩急をつけた投球で日体荏原打線を打ち取れば、日体荏原の鈴木も、12日よりややカーブが多かったような気がするが、力のあるストレートとスライダーで、実践学園打線を抑えた。

 この日均衡を破ったのは、実践学園の方だった。

 5回表一死後、6番石橋が左前安打で出塁。続く小林の遊ゴロで二塁に。二死二塁の場面で、8番下村雄二がバットにちょこんと合わせた打球が右前安打となり、石橋が一気にホームインして1点を先取。下村は二盗を成功させ、9番尾林はライト前に流して下村も生還した。
実践学園は下位打線が足を絡めて貴重な2点を先取した。

 もちろん日体荏原も、このまま引き下がるわけにはいかない。
6回裏一死後、この日スタメン起用された身長161センチの古川司は、レフト前に執念の流し打ちで、出塁。盗塁で二塁へ進み、この日2番から5番に代わった保坂が左前安打。二塁走者古川司は、俊足を飛ばして、一気に生還して、1点差に迫った。

 日体荏原にとって惜しまれるのは、8回裏の攻撃だ。
一死後2番古川司は、三遊間を破る左前安打で出塁。3番村越がうまく流し打球は、レフトのラインのやや内側に落ちて二塁打になり、一死二、三塁の絶好機を迎えた。
ここで4番関は一飛に倒れ、5番保坂は、尾林のスライダーかカットボールのような、小さく曲がるスピードボールに三振。チャンスを生かせなかった。


 それでも日体荏原は、9回表に一死一、三塁のピンチを迎えるが、少し飛び出した三塁走者を日体荏原の捕手・関が素早く牽制して刺すなど、9回裏の攻撃に望みをつないだ。

 しかしながら実践学園の尾林は、9回裏の日体荏原の攻撃を三者凡退に打ち取り、完投勝利を挙げた。

 試合終了後、両チームの選手は健闘をたたえる握手をし、2日に渡る熱戦は終わった。

 12日の試合では実践学園の5安打に対して、日体荏原は19安打と、得点はともに2でも、内容的には日体荏原が押していた。
それに対してこの日は、実践学園が9安打、日体荏原が6安打と、内容面でも実践学園がややリードしていた。

 実践学園の一番のヒーローは、丁寧な投球でこの日は完投し、自らも適時打を打った尾林であるが、足を絡めて下位打線で2点を取るなど、チーム全体で勝ち取った勝利だった。
もっとも、実践学園の次の対戦相手は、同じ中野区にある強豪の堀越。この日のように、一球を大事にする好試合を期待したい。

 一方日体荏原は、春季都大会を辞退するなど苦しい時期もあったようだが、伝統校らしく、鍛えられた好チームだった。
特に2年生のエース・鈴木は、来年は東京を代表する好投手になる素質は十分にあるように思う。秋にまた、成長した姿を是非見たい。

(文=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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