藤井学園寒川vs香川高専高松
チームの要・濱口侑士(香川高専高松)
香川高専高松健闘の原動力となった俊足強肩捕手
試合全体を振り返れば「スライダーの精度が上がって内外角の使い分けが出来るようになったし、ストレートの球威が上がった」(筒井晋一朗監督)藤井学園寒川先発右腕・下村良摩(3年・右投右打・181センチ77キロ)が終始安定感を発揮。7回裏に香川高専高松の4番・河野恵太一塁手(3年)に打った瞬間それと判る大会第7号ソロを浴びたものの、この冬にキャッチボールからしっかり取り組んできたことが見えるバックの安定感を背に110球で散発5安打3四死球完投は見事だった。
その一方、投手も兼ねる4番・高田篤志右翼手(2年・左投左打・182センチ78キロ)をはじめ、バットコントロールの確かな藤井学園寒川打線を前に、3回に2番の渡邉大貴二塁手の犠飛、5回・高田の適時打と失策による3失点に抑えた香川高専高松の健闘もまた見事。その原動力となったのが扇の要を守る5番・濱口侑士捕手(3年・右投右打・173センチ67キロ)である。
まず目を引いたのは二塁送球へのスピード。
3回表からの投球練習最後の二塁送球タイムは「1.96秒、1.87秒、1.79秒、2.10秒」。50メートル走6秒2の俊足を利した足さばきの速さがこのタイムを可能にしている。
また、リードも右オーバースローの瀧口海斗(3年)、右アンダーハンドの吉成拓海(3年)、2年生右腕の白神雄亮の3投手を巧みにリード。本人は「守備では4盗塁を許し、打席でも打てず。自分のせいで負けたようなものです」と唇をかみ締めて話したが、「引き出しのある」(吉澤恒星監督)片鱗は十分に見せてくれた。
最後に「緊張した場面で力を出せるように。そして力が付いたら上のレベルで野球をしてみたい」と夏への挑戦を誓った濱口。香川第一中でバッテリーを組んだ英明のエース左腕・赤川大和(3年)を強く意識する彼の高校野球生活は、最終局面を迎えようとしている。
(文=寺下友徳)