神村学園vs鹿児島城西
優勝旗を持つ山口主将(神村学園)
本物の強さ
強さは本物だった-。
4回戦の鶴丸戦、準々決勝の鹿児島南戦、ともに2得点と湿りがちだった神村学園打線だが、前日の準決勝では、鹿屋の好右腕・照屋和輝と栗田晃仁から11安打。
それはまさに打線爆発の序章だったのかも知れない。
「打つ方が不安定だったので、今日は“やってやろう”という気持ちが強かった」
そう語るのは神村学園の3番センターの坂口湧希。
前日の鹿屋戦では4打数1安打と自分自身としても納得していなかった坂口だが、今日は自分自身からにじみ出てきたような本物の打棒がさく裂した。
第一打席で痛烈なセンター前を放つと、第二打席の四球を挟んだ第三打席。
3回途中から登板した鹿児島城西の左腕・中村正利の投じた6球目を振り抜くと打球はあっという間に右中間を真っ二つに破った。
「自分でもあんな(打球が)飛ぶとは思いませんでしたね」
第四打席もまるで前打席の再現VTRをみているような右中間を見事に破る圧巻の三塁打だった。
終わってみれば三塁打2本を含む4打数3安打、4打点と大活躍だった。
そんな坂口は熊本県出身。中学から神村学園で野球することを決意し、鹿児島県串木野市で白球を追い続けた成果が遂に実り始めた。
180センチ72キロと均整の取れた体格で、50m6秒フラットの足にも自信がある。
今度は鹿児島1位代表として出場する九州大会。
「センバツに出ているチームも出場するので自分たちの野球を貫きたい」(坂口)
鹿児島の地に来て6年目に突入した坂口、地元・熊本の2チームも参加するその舞台で、その存在感をみせつけるつもりだ。