試合レポート

【春季埼玉県大会】櫻井の一発で流れをつかんだ昌平が、川越東に勝利しベスト8進出!

2024.05.02


櫻井 ユウヤ(昌平)

<春季埼玉県高校野球大会:昌平5-2川越東>◇30日◇3回戦◇県営大宮

雨も上がった県営大宮球場の第2試合はAシード・昌平と、昨夏ベスト4の川越東の一戦。

先発は川越東がエースの宮城 勇輔投手(3年)、昌平は140キロ右腕・佐藤 立羽投手(3年)が登板し試合が始まる。

試合前半は、どちらかといえばロースコアに持ち込んだ川越東のペースで進む。

先制したのは昌平だった。

3回1死から1番・白坂 寛捕手(3年)のセンターへの飛球をやや深めに守っていたセンターが前進し追いついていたが取れず二塁打となる。さらに続く大槻 真広外野手(3年)、3番・山根 大翔外野手(3年)の連続死球により1死満塁とチャンスが広がると、2死後、5番・渡辺 暁斗内野手(3年)も、押し出し四球を選び1点を先制する。

だが、対する川越東もすぐに反撃を開始する。

4回、中島 都亜(3年)のセーフティーバントが佐藤立のエラーを誘い出塁すると、すぐさま二盗を決める。続く山根 大典内野手(3年)の内野ゴロで1死三塁とすると、4番・笹尾 拓海内野手(3年)の内野ゴロで同点とする。

だが、昌平打線は3巡目を迎え川越東・宮城を徐々に捉え始める。

昌平は5回、この回先頭の白坂の三ゴロが三塁手の悪送球を誘い、無死二塁とする。続く大槻が大きなセンターフライを放ち1死三塁とすると、3番・山根がこれまた大きな犠飛を放ち、まず1点、さらに続く櫻井 ユウヤ内野手(2年)が「インコースには来ないと思っていたので変化球を狙っていた。前の試合の花咲徳栄・石塚さんのホームランを見て自分も」と、左翼席へソロ本塁打を放ち3対1とする。

昌平は6回にもこの回先頭の園田 燿大外野手(3年)が左翼線への二塁打を放ち出塁すると、続く佐藤立の犠打が相手のエラーとなり無死一、三塁とチャンスが広がる。ここで代打・畑田 育杜外野手(3年)が左越えの適時二塁打を放つと、続く諏江 武尊内野手(2年)がスクイズを決め5対1とする。

対する川越東も7回、1死から笹尾が右前安打を放ち出塁すると、続く篠原 隆寛(3年)のセーフティーバントが内野安打となり1死一、二塁とする。ここで6番・西澤 陸(3年)が右前適時打を放ち1点を返すと、さらに送球間にそれぞれが進塁し1死二、三塁とする。

昌平ベンチはここで佐藤立を諦め、2番手に鈴木 燿斗投手(3年)をマウンドへ送る。対する、川越東は代打に峯 孝宏(3年)を送るが三振に終わると後続も倒れ万事休す。

結局、昌平がそのまま5対2で川越東を下しベスト8進出を決めた。

川越東の野中監督は「宮城は3回にフォームがおかしくなって、途中で修正させた。春先は秋の関東出場校とばかり練習試合をして、打線は今日140キロの球をどれだけ打てるかというところだったんですが、まだこの時期なんでね。そもそも選手達は志望校に関しては自信を持って言えるのに、野球の目標を聞くと自信なさげに答える。『もっと口に出せ』と。みんな中学の時の本当のエリートではないんで、謙虚すぎて欲がないからつまらない。本気で甲子園を狙ってほしい。まあ、夏見ていてください」と、珍しく厳しい指摘をするも最後は夏の反攻を予告した。

宮城は強打の昌平打線を相手に被安打6、自責点2で完投とよく投げていた。問題は守備だ。このレベルの相手にミスをしていては勝てない。打線も140キロレベルの投手を打たないと先はない。夏までに貪欲に投打のレベルアップを求め、甲子園を狙う必要がありそうだ。

一方の昌平・岩崎監督は「状態や順番、適正を見て佐藤立で。出来は悪くなかったんですが、相手の食ってやろうという気迫に序盤、圧倒された。佐藤立でなければもっと劣勢になったのでは。5、6回は選手の力。相手の投手は丁寧に投げていたので、打つ球を決めて泳がされず自分のスイングをしなさいと。櫻井は際どい球に飛び付かず、我慢して打てる球をしっかり捉えている。ファースト、サードは春ということで今、適性を見ている。投手陣はほぼ全員、最速で140キロは超えてくる。大槻は自由にやらせても、彼の判断でチームバッティングをしてくれるので2番で」と、一時劣勢も落ち着いた試合運びを見せた。

本塁打を打った櫻井も「ファーストでみんなの送球を捕るもいいなって。大会の入りは緊張する。そこで自分が凡退したらチームに悪影響が出るかなと思っていたので、大事に入って1本が出て気が楽になった。打撃は独特な角度には自信がある。コールドだと油断が出るのでこんな勝ち方でOK」と、自覚を見せ、成長の跡を見せている。

投手陣は2試合で6投手が登板し盤石だ。おそらく投手陣だけで見ると現状は埼玉No.1であろう。打線も特に上位には旧チームから出場している経験豊富な強打者がずらりと並ぶ。Aシードとしての気負いもあまり感じられないだけに今大会もどこまで勝ち上がるのか楽しみだ。

この記事の執筆者: 南 英博

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