試合レポート

【春季鹿児島大会】鹿児島に151キロ右腕誕生!鹿児島実・井上が自己最速更新!完封で県大会制覇!

2024.04.07


鹿児島実・井上 剣也投手(3年)※写真は過去の取材より

<第154回九州高校野球大会鹿児島県予選:鹿児島実1-0鹿屋農>◇6日◇決勝◇鴨池市民

雨で1日順延し、会場が、プロ野球開催のため平和リース球場から鴨池市民球場に変更となった。雨の予報が出ていたため、開始時刻を午前10時から約10分早めて、午前9時49分から始まった。

鹿児島実の右腕・井上 剣也投手(3年)、鹿屋農の左腕・吉元 翔皇投手(3年)と、今大会屈指の左右両腕が、それぞれの持ち味を存分に発揮し、小雨が降り続く中で引き締まった好勝負を演じた。

スコアが動いたのは3回。鹿児島実は四球、内野安打で無死一、二塁とし、1番・満留 裕星(3年)の送りバントが三塁悪送球となり、二走・吉村 雅(3年)が先制のホームを踏んだ。

井上は最速151キロの直球を中心に、鹿屋農打線から三振や飛球アウトをテンポ良く奪い、得点の気配を与えない。一方、吉元も厳しいコースを丁寧に突いて、打たせてとる投球で鹿児島実打線に追加点を与えなかった。

鹿屋農は7回に3つ、8回に2つの四球を選び、終盤大きなヤマを作るが、適時打が出ない。9回も先頭の4番・吉元が左前打で出塁したが、井上が続く3人の打者を空振り三振に仕留めた。わずか3安打、12奪三振、149球の完封勝利で、鹿児島実が6季ぶりの頂点に立ち、57回目となる九州大会出場を勝ち取った。

「ピンチになるとギアが上がる。『俺の球を打てるものなら打ってみろ!』と強気になる」。

鹿児島実の主将・新改 幸士朗捕手(3年)はエース井上の成長をそう評する。小雨が降り続いた中での投手戦。鹿児島実はエース井上が成長ぶりを随所に発揮し、3年ぶりに春の頂点に立った。

9回の投球がその象徴だった。先頭打者に緩い変化球を左前打されてから「残りの打者は3者三振で打ち取るつもりだった」とスイッチが入った。

終盤、足元のぬかるみで踏ん張りが利かず、7、8回で5四球、9回も3回連続で先頭打者を出してしまった汚名返上を右腕に誓う。最も自信を持っているのは、この日最速151キロを記録した直球。球威は最後まで落ちず、3人の打者の締めくくりの球は149キロ、149キロ、144キロの直球で、いずれもバットが空を切り「有言実行」をやってのけた。

元々、球威や安定した制球力など潜在力は高かった上に「気持ちのふわつきが少なくなった」と宮下正一監督。以前はピンチになるとフォームが縮こまっていたが、どんな場面でも「フォームが崩れなくなった」と捕手・新改も感じている。

低反発バットが導入され、「大きな当たりが出にくくなった。これからこんな試合が増えると思う」と宮下監督。打球が飛ばなくなった分、投手力と守備力の強化が今まで以上に求められるのを痛感した今大会だった。
「初めて決勝戦を投げられたのが良い経験になった」と井上。昨年は県大会決勝も九州大会もチームとして経験していない。「経験を積めればこのチームは夏、面白くなる」と宮下監督。春の九州大会は経験を積む絶好の場となる。

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この記事の執筆者: 政 純一郎

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