試合レポート

【春季鹿児島大会】国分中央が「監督の教え」を実践して接戦制する

2024.04.01


国分中央3点目・高濱三塁打

<第154回九州高校野球大会鹿児島県予選:国分中央3-0鹿児島>◇31日◇3回戦◇平和リース

国分中央鹿児島の一戦は、序盤から両者ゼロ行進が続き、1点を争う緊迫した好勝負となった。

国分中央は背番号10の左腕・奥 亮太(3年)が完投、鹿児島は小刻みな継投で相手打線の目先を変え、両者得点が奪えないまま終盤を迎えた。

9回表、国分中央は1死から6番・柳田 大志(2年)、代打・仮屋 志颯(3年)が連打で好機を作り、8番・高濱 橙生(3年)が右中間を破る三塁打を放つ。返球が乱れる間に高濱も生還し、3点を先取した。

その裏を奥が3者凡退で切り抜け、初戦に続いて2試合連続完封勝利で国分中央が8強入りした。

この春に異動になった床次隆志監督にとっては、この日が国分中央での最後のベンチとなった。苦しみながらも会心の勝利で締めくくり「生徒たちの気持ちがこもっていた。しびれる試合でした」と感無量の様子だった。

「この2年間、床次先生に教えてもらったことを発揮できました」と殊勲の決勝打を放った高濱は胸を張る。一番大事なことはメンタルコントロール。勝っていてもおごらず、負けていてもひるまず。チームの勝利のために自分のできることを淡々とこなすことを言われ続けた。

今大会、打撃の調子が上がらず、チームもなかなか打てない状態がこの試合も続いたが、捕手として奥を懸命にリードし、8回には好送球で相手の三走を阻止した。

9回、「この回で決めるぞ!」と床次監督が檄を飛ばす。8回まで1安打しか打てなかった打線が初めて連打で一、二塁と好機を作り、高濱に打席が回ってきた。

送りバントの選択肢も考えられた中で「今後、彼が自分で上位の打順をつかむためにも、ここで勝負してほしかった」と指揮官は高濱に託す。「奥のために、チームのために打つ」ことだけを念じた高濱は、フルカウントまで粘って、最後は外角直球を右方向に打ち返す。右中間方向へ低い打球、低反発バットが一番威力を発揮するお手本のような打撃で決勝打を放った。

学校の離任式で床次監督は「野球部は夏、甲子園に行きます!」とあいさつした。「最大のプレッシャーをかけました」と苦笑する。高濱は「夏、甲子園に行けるよう、この大会の優勝を目指す。まずは次の試合を全力で勝ちに行きます」と力強く誓っていた。

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この記事の執筆者: 政 純一郎

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