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大阪桐蔭をねじ伏せた 報徳学園151キロ右腕・今朝丸裕喜のすごさを徹底分析する!

2024.03.29


今年のセンバツで大会NO.1右腕と評されていた報徳学園の151キロ右腕・今朝丸 裕喜投手(3年)がその実力にたがわない圧巻の投球を見せた。準々決勝で強打の大阪桐蔭相手に1失点完投勝利を収めたのだ。その評価はまさにうなぎ上りである。

その投球はまさに隙がなかった。
ストレートの最速は愛工大名電で記録した148キロより2キロ遅い146キロだったが、初戦の140キロ以上は17球に対し、この試合では29球。初戦よりもストレートが走っていて、伸びのある球質だった。今朝丸のストレートについて、背番号2の徳田 拓朗捕手(3年)、背番号12の操野 拓真捕手(3年)はこう語る。
「キャッチャーミットの上が抜けていきそうなぐらい、ものすごい伸びのあるストレートを投げます。特に愛工大名電戦では低めでもぐっと伸びてくる感覚でストライクに入るんです」(徳田)
「今朝丸は手足が長いですし、しっかりと真上から叩くことができるフォームなので、ボールに角度があります。今朝丸は“ベース板上での強さ”というのを求めていて、その強さはだんだん来ていると思います」(繰野)

また今朝丸は自分の中で力の入れ加減ができる。愛工大名電戦では148キロを計測した4回表では本人も「2巡目なので、ギアを上げました」と語ったが、徳田もその勢いを感じていた。
「あの回のストレートは凄かったですね。今までに増してぐっと伸びるストレートでした」と絶賛した。130キロ台のストレートも多いが、これは完投を意識して出力を抑えている証左だ。今朝丸本人もこう話す。
「先発で投げているので、ずっとフルパワーでやったら持たないので、打者の力量を見ながら、やっています。1年前のセンバツでは一生懸命投げることで精一杯でしたが、今年の甲子園はそういう余裕があるかなと思います」

大阪桐蔭戦ではいつもより140キロ以上のストレートが多かったこともあり、速球中心の攻めだった。徳田が攻めの意図を明かす。
「試合前からバッテリーコーチの方と話をしていて、直球、変化球のどちらかを投げて、直球で振り遅れ気味だったら、直球で押していけ!と言われて、直球中心でいけると思いました」

実際に140キロ中盤の速球に、大阪桐蔭の選手たちは何度も差し込まれた。さらにそのボールはアウトコース、インコースギリギリにもコントロールされており、いくら桐蔭打線でも打てないと感じられた。

変化球の精度も高く、カーブ、スライダー、フォークの3球種が中心。ブレーキが効いたカーブでカウントを稼いで、そして落差が鋭いフォークで三振を奪う。コンビネーションがしっかりしているが、変化球に頼りすぎず、直球で勝負できるのが今朝丸の強みだ。

コントロールも安定しており、甲子園2試合16回を投げ、与四球は1、球数は200。1イニングあたりの球数は12.5で、効率的に投げることができるのも申し分がない。

ドラフトでは2位以内には指名される逸材だろう。187センチの長身で、毎試合、140キロ後半の速球を投げる出力の高さがあること。そして制球力も高く、投球フォームもその長身を生かした角度のある投球フォームで、変化球も横振りにならずに投げることができる。
フィールディングについても、大角健二監督は「秋よりも守備に対する意識も高まった。投球以外のアウトを取ろうとする。何事にも必死さを魅せていて精神面の成長が感じられます」と話した。

昨年のドラフトでは身長186センチの本格派右腕・坂井 陽翔投手(滝川二)が楽天から2位指名を受けている。坂井以上に大舞台を経験している今朝丸には、マインドの強さがあり、体作りで大きく球速を伸びそうな将来性も兼ね備えている。長身の高校生右腕が欲しい球団はリストアップするべきだろう。

大阪桐蔭戦の完投勝利で、名実ともに今年の高校生No.1右腕になったのではないか。ここからセンバツの頂点を掴むことができるのか。注目していきたい。

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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