超高校級スラッガーと騒がれるもプロ3年目で戦力外…西川 僚祐が語る育成契約を蹴って新球団を選んだ理由「環境を変えたかった」
西川 僚佑
ドラフト指名も「不安の方が大きかった」
「人生で一度しか味わえないといいますか、プロ野球とは違う魅力がありました。高校生であの観客さんの前でやれるのはなかなかないので、良い経験でした」
甲子園の2回戦では、中京学院大中京(岐阜)に敗れてしまい、上位進出とはならなかった。3年春の20年センバツ出場するも、新型コロナウイルスの影響で、センバツ中止。そして夏の甲子園も中止となった。多くの野球部の部員が目標を見失う中、西川もその1人だった。
「自分たちは夏の甲子園をやるかもしれないという気持ちを信じてやってきたので、夏の甲子園中止が決まったあとはモチベーションを保つのは難しかったですね」
甲子園の代替として開催された神奈川の独自大会で、東海大相模が見事に優勝を果たした。
「ほっとしましたね。神奈川では先輩たちの代(19年の春季神奈川県大会)から無敗できていたので、独自大会で優勝できてよかったです」
しかし西川の目標は高卒プロ。高校通算55本塁打を打つ大砲として注目されたが、独自大会では27打数7安打、打率.259、6打点に終わり、十分なアピールができなかった。
「不安が大きかったですね。物足りないなと思っていましたし、選ばれないなと思っていました」
迎えたドラフトではロッテから5位指名を受け、高卒プロの夢を叶えた。ただ西川本人はほっとした気持ちよりも、不安の気持ちがさらに大きくなっていた。
「プロ野球になると、投手のレベルが上がる中、対応できるかなと。不安のほうが大きかったですね」
2021年2月1日、キャンプインすると、その不安は的中する。
「プロのボールをとらえることができなかった」
心のどこかに不安を抱えながら挑んだ、プロ1年目のキャンプ。
西川はシート打撃に入ったが、先輩投手の球を全くとらえることができなかったのだ。
「芯を捉えれば、遠くへ飛ばす自信がありました。ただプロに入ってみると、投手の球速、変化球、コントロールの良さが全く違い、芯を捉えることができないんです。今まで対戦した高校生にも、145キロを投げる投手はいました。プロの世界は球速表示以上に強さを感じます。なかなか外野に飛ばせなかったです」
打席に入れば三振を繰り返す。しかし当時の鳥越裕介監督は西川をスタメンで起用した。
「鳥越監督から『まずは振る』ことを教えてもらいました。『徐々に慣れていくから、空振りしてもいいから、ボール球を振って三振してもいいから、とにかく振る。当てにいく必要はない』と言われました」
しかし、結果はついてこなかった。1年目は76試合216打数30安打3本塁打15打点。打率は.157、75三振に終わった。2年目になっても、なかなか持ち味を発揮できない。
「2年目の前半まで、プロのボールに慣れなかったです。1年目のオフシーズン、2年目のキャンプは『ストレートのスピードについていく』ことをテーマに練習をして、徐々に当たるようになっていたんですけど……。自信を持って弾き返せる感じではなかったですね」