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評価急上昇! 阪神2位の豪腕・椎葉剛を待ち受ける「NPBの洗礼」とは? 徳島IS出身の阪神OBが明かした「重圧との向き合い方」

2024.02.09


守護神候補として期待される阪神2位のルーキー・椎葉 剛投手(島原中央-ミキハウス-徳島インディゴソックス)が春季キャンプの打撃投手としてマウンドに登った。
椎葉は昨年のドラフトで一挙6人指名を受け話題を呼んだ徳島インディゴソックスの出身。最速159キロの速球、140キロ台のスプリットを武器に39回を投げ、51奪三振と投球回を上回る奪三振を記録。昨年のドラフト前には11球団から調査書が届いた逸材だ。

新人唯一の一軍キャンプ入りし、志願しての打撃投手の登板に、メディア、阪神ファンも注目。岡田 彰布監督もグラウンドに入り、球筋が見やすいショートの真後ろから椎葉の投球を見守った。

期待の若手打者・前川 右京外野手(智辯学園)、小野寺 暖外野手(京都翔英)相手に40球を投げ、ヒット性は4本に抑えた。感覚を試しながら投げていたため、出力は抑えめであったが、ストレートは詰まらせるほどの威力があり、スライダー、カーブもしっかりとストライクが取れていた。そしてラストの1球では最も力を入れたストレートを投げ込み、その威力には159キロ右腕の片鱗が見えた。

期待通りの椎葉の姿には、岡田監督や他球団のスコアラーからも評価の声があがった。順調なスタートをきった椎葉は、このまま開幕一軍の座をつかみ取ることができるのだろうか。
椎葉と同じ投手で、徳島から阪神に入団した福永 春吾氏に今後の椎葉の活躍を占ってもらった。
福永氏は徳島で15年から2年間、エースとして活躍。2年連続最多奪三振を獲得し、150キロ超えの速球派右腕として注目された。阪神から16年ドラフト6位指名を受け、阪神で17年から20年までプレーした。現在は台湾の台鋼ホークスで2軍投手コーチ補佐を務めている。

「150キロ超えのストレートは非常に強いですし、キレもあります。また投球フォームを見てもキレイな投球フォームで投げていますね。まだまだ成長できる素材の良さも魅力です。2位という指名順位も、キャンプ一軍スタートも、かなり期待されている証です」

そう高評価を与える福永氏だが、いくつか心配していることもある。まず一つ目は、NPBのキャンプの重圧だ。実際、椎葉も「想像以上にしんどい」とキャンプの感想を漏らしている。
「徳島時代と練習量自体は変わらないんです。しかし、“見られている”という緊張感がとても大きいんです。ファンの方もかなり多いですし、とてもありがたいことなのですが、その目は気になりました。
私は新人のとき二軍キャンプでしたから、椎葉はよりその緊張感が大きいでしょう。
阪神という人気球団はよけいにそのプレッシャーが大きいと思います。
私の1年目のキャンプは、がむしゃらに投げていました。ペース配分や球数も考えられなかったです。コーチ陣や周りの人に対して少しでもアピールしようと思って……。心身ともにしんどかったですね。練習が終わると『ああ、今日も一日終わった』とぐったりしていましたね。でも、2年目以降からキャンプのペースに慣れてきて、自分の出力を調整できるようになってきました」

おそらく椎葉も同じ状況なのだろう。福永氏はこの重圧とどう向き合っていたのだろう。
「休みの日に海を見ながら散歩することでした(笑)。(二軍キャンプ地の)安芸の海岸を歩きながら、ただただぼーっと太平洋を眺めるんです。それでだいぶリフレッシュできました。あとは、月並みではありますが、美味しいものを食べること。『練習が終わったら美味いもの食べるぞ』というのがモチベーションになりましたね(笑)。いま椎葉君が感じているプレッシャーは2年目以降、グンと減ります。何とか乗り越えて欲しい」

最後に福永氏は投手としての椎葉の課題を挙げた。
「椎葉君の独立リーグの成績を見て気になるのが、そんなに多く登板していないことです。彼に期待されているセットアッパー、ストッパーはとてつもない体力を使います。一軍で一度投げるだけで、身体の張りなどが二軍や独立とは全く違いますから。
投手としての経験もまだ浅いこともあり、投球にはアバウトさが感じられます。やはり一軍は力だけで押し切れるほどの甘い世界ではないので。一軍で活躍できる投手は投げ間違えがないコントロールの良さがあります。
自分自身の経験ですが、二軍ではラッキーでアウトになっても一軍の打者は打ち損じをしないので、簡単に打たれてしまう。そのレベルです。
それでも、どんな状況でも立ち向かってほしいですし、ストレートの質をもっと上げることを期待しています」

椎葉はインディゴソックス時代もオーナーに対して「自分の人生がかかっているんだ!」とトレーニングルームの開館時間の延長を直訴したほど、志の高いピッチャーだ。
ルーキーのキャンプは重圧だらけかもしれないが、一刻も早く慣れて欲しい。自分のペースで調整できた時、その圧倒的な素質はきっと開花する。

<関連記事はこちら>
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この記事の執筆者: 田中 裕毅

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