【高校野球ベストシーン’23・福島編】タイブレークのドラマで大逆転サヨナラ劇、聖光学院が集中力を見せた夏決勝

2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。

【選手権福島県大会決勝・聖光学院vs.学法石川】
延長タイブレークはさまざまなドラマを生む。得点が取りやすいとされる無死一、二塁から始まる攻撃となるが、一度勢いがつくと、どこまでも得点が入る。そんな「恐ろしさ」を感じた試合があった。

23年夏の福島県大会決勝。9回を終え、6対6の同点。試合はタイブレークの延長戦へと突入した。10回表、学法石川が4点を奪う。しかし、その裏に、なんと聖光学院が5点を奪って11対10でサヨナラ勝ちした。野球は本当に最後まで何が起こるか分からない。

学法石川は10回表に2つの四球と2つの適時打で4点を奪っている。見事なまでの集中打で、勝利を確信していたに違いない。甲子園への切符をつかみかけていたところだったが、聖光学院はあきらめていなかった。

先頭打者の安打で無死満塁とすると、連続死球での押し出しで2点。勢いに乗ると内野ゴロと適時打でさらに2点を追加して同点とする。最後は1死満塁から犠牲フライでサヨナラ勝ち。まさに粘りの攻撃で5点を奪って見せた。

タイブレークの戦いでは、裏の攻撃となったチームが「1点も取られたらいけない」と硬くなるケースがあるという。しかし、「裏の攻撃で自分たちも同じ条件で得点を奪いにいける」と開き直ることができれば、多少の失点は目をつぶって傷口を広げることはないと言われているが、それにしても、である。打線がつながって5点を奪うのは、いつもいつもできるわけではない。それも甲子園がかかる大事な決勝戦。自分を信じ、仲間を信じ切った聖光学院ナインは称賛に値する。

新チームとなった秋季大会準決勝で、この2チームは再び対戦した。結果は聖光学院が序盤のリードを守り7対3で勝利。対学法石川6連勝を飾った。24年も対戦する機会は必ずくるだろう。学法石川は、この悔しさを胸に、2019年秋季大会2回戦以来の聖光学院からの勝利をつかみにいく。

＜全国高校野球選手権福島大会：聖光学院11－10学法石川＞◇2023年7月25日◇決勝◇県営あづま

学法石川スタメン
（遊）本郷 翔大（3年）※亜細亜大進学予定
（二）福尾 遥真（2年）
（捕）内田 光亮（3年）※拓殖大進学予定
（右）福田 涼介（3年）
（三）松山 拓未（3年）
（左）伊藤 和哉（3年）
（中）根本 剛希（3年）
（一）福田 健人（3年）
（投）國分 太雅（3年）

聖光学院スタメン
（遊）髙中 一樹（3年）
（二）西本 颯汰（3年）
（捕）杉山 由朗（3年）
（中）三好 元気（3年）※立正大進学予定
（一）樽川 遥人（3年）
（三）片山 孝（3年）
（右）松尾 学武（3年）
（左）緑川 竣風（3年）
（投）小室 朱生（3年）