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【高校野球ベストシーン’23・東京編】共栄学園がミラクルサヨナラ劇!岩倉を悲劇が 襲った東東京準決勝

2023.12.15


2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。

【夏選手権東東京大会準決勝・共栄学園vs.岩倉】
甲子園出場をかけた高校最後の夏の大会は、時に残酷な結果を生む。今年の夏、東東京大会準決勝は、無情とも思える結末となった。初の4強で勢いに乗る共栄学園と、1997年夏以来の甲子園出場を狙う岩倉。激闘はサヨナラで決着がつき、共栄学園が勝利した。

9回裏2死二、三塁のピンチ。4対3とリードしていた岩倉の右腕エース・大野 巧成投手(3年)は、打者をカウント1-2と追い込み、あと1球で勝利というところまできていた。この試合107球目、こん身の142キロの直球を投げ込むと、打球はフラフラと三塁方向へ上がる。これをつかめば決勝進出が決まる。しかし、三塁手の高橋 梁内野手(2年)が捕球できず、内野安打に。三塁走者だけでなく、二塁走者も一気に生還して逆転サヨナラ。ホーム付近で歓喜に沸く共栄学園ナインのすぐ横で、大野はうずくまり、しばらく立てなかった。

あのシーン、大野と捕手も少し飛球を追いかけている。2年生の三塁手はやや遅れて飛球を取りに前進してきた。あの「微妙」な間が、三塁手を惑わせ、慌てさせてしまったようにも見える。勝利をつかむことは、やはり思うほど簡単なことではない。

2点を先制して迎えた8回には、併殺を焦って遊撃手が悪送球。その後、一塁手もゴロを処理して三塁へ送球するもやや右にそれ、三塁手も捕れなかった。その後、遊撃手も正面の簡単なゴロをファンブル…。次々と信じられないミスが続き、この回2点を失っている。リードしている側の守備にかかる重圧は想像を絶する。

大野は内野陣の失策にも表情を変えずに最後まで投げ抜いた。他校から2年春に転校。公式戦に1年間出場できないつらい時期を乗り越え、最後の夏にマウンドに上がっていた。帝京修徳を破り、4強へ。甲子園が見えてくるところまで勝ち上がれた。チームメートと一緒に、公式戦で戦える嬉しさをかみしめていたに違いない。グラウンドでは最後は涙で終わったが、球場を去る時には、落ち込む選手を慰める姿が見られた。心が救われる気がした。

最後まで諦めない驚異の粘りを見せた共栄学園は、決勝も9回の逆転劇で甲子園切符をつかんでいる。

あの日、フラフラと上がった打球の行方…。野球の神様は、勝者にも敗者にも、忘れられない夏の思い出を与えた。

<全国高校野球選手権東東京大会:共栄学園5-4岩倉>◇2023年7月28日◇準決勝◇神宮

岩倉スタメン
(一)川上 智史(3年)
(三)高橋 梁(2年)
(遊)島﨑 裕嵩(2年)
(投)大野 巧成(3年)
(二)堀田 秀哉(3年)
(捕)寺川 瑠之介(3年)
(左)小林 莉久(2年)
(右)浅沼 奏吾(3年)
(中)赤星 幸弥(3年)

共栄学園スタメン
(遊)笹本 裕樹(3年)
(一)牟田口 逸佳(2年)
(三)前田 幸毅(3年)
(捕)菊池 虎志朗(3年)
(中)上村 陽大(3年)
(左)早川 飛翔(2年)
(投)茂呂 潤乃介(3年)
(二)横田 優生(3年)
(右)高橋 祐稀(2年)

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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