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ランニングと下肢トレーニング【セルフコンディションニングお役立ち情報】

2023.11.30


こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。

いよいよ本格的なオフシーズンに突入します。前回はトータルの運動(練習)量が多くなることで起こりやすくなるランニング障害とその対策などについてお話をしました。今回は「ランニング量が増えると下肢(下半身)のトレーニングが追い込めないのでは…」という疑問について、どのように考えればいいのか、プログラム計画などについてお話をしたいと思います。

ランニングは種目によって鍛えられる体力要素に違いがある

ランニングは種目によって強化する体力要素が違う

オフシーズンになり、技術練習とともに体づくりのためにフィジカル面の強化を行うチームは多いと思います。体力的な土台は、より強いボールを投げる、より速いスイングスピードで打球を伸ばすといった技術面やチームの戦術面においても必要不可欠なものだからです。一方で体力を鍛えることはコツコツと続けて行うことが何よりも大事であり、一日取り組んだから翌日にその成果が現れる…といった単純なものではありません。そのため多くのチームはオフシーズンを中心に日々フィジカルトレーニングを取り入れ、地道に体力レベルを向上させるような練習プログラムを実践しています。その一つの方法としてランニングを行うことがあります。

ランニングではプログラムの内容によって、さまざまな体力要素を鍛えることができます。例えばインターバル走を用いたものは心肺持久力の強化、スタミナの維持・向上、筋持久力が主なターゲットとして挙げられますし、ショートスプリントであれば一瞬で大きな力を出すパワー、瞬発力を鍛える目的があります。ロングランであれば、心肺持久力の強化とともに、ランニングフォームを維持し続けられる体幹やバランス能力の養成、自身の体を支えるだけの片足支持能力の評価などができます。体力といってもそれを構成する要素はさまざまであり、採用する種目によって強化する体力要素は変わります。オフシーズンに行うランニングの多くは「心肺持久力(スタミナ)」や「筋持久力」の強化がメインとなりますが、毎日同じ種目ではなく、ときどき強化する体力要素を変更することもランニングでケガをしないためには必要なことと言えるでしょう。

トレーニングは効率よく筋力強化ができる

こうしてフィジカル面を強化する一つの方法としてランニングを採用していると、ときどき「ランニングの後だと下肢のトレーニングに取り組めない」という問題が発生します。正確に言えば「下肢のトレーニングに取り組もうとしても、限界まで追い込めない、どうしても高負荷を挙げられない」と言ったところでしょうか。ランニング量や強度が高くなると総運動量が増えるため、選手の体力的な許容範囲(キャパシティー)を超えているといったことも考えられます。このような場合は練習内容を含めて、総運動量をコントロールすることも必要となってきます。

ウエイトを使ったトレーニングは主に体を大きくするための筋肥大、筋力向上、そしてパワー養成を目的としたものです。いつもの技術練習では補いきれない筋力を、ウエイトなどを使って繰り返し鍛えていきます。野球の練習だけを行っていて筋力的な要素が伸びるのであれば、ウエイトトレーニングは必要ないということになりますが、ウエイトトレーニングを実践すると効率よく筋力強化ができるという点がトレーニングの大きなメリットの一つと言えるでしょう。

ウエイトトレーニングは筋力を効率よく鍛えることができる

鍛える体力要素の違い

ランニングで強化したい体力要素(例えば心肺持久力、筋持久力)と、ウエイトトレーニングで強化したい体力要素(主に筋力、パワー)には違いがあります。それぞれを強化するためにはどちらも行う必要があるのですが、同じ日にどちらも鍛えるというのは総運動量と照らし合わせてみても体力的なキャパシティーを超える可能性があります。運動量や運動強度が急激に上がってしまうと、それによってケガをするリスクが高まるため、段階的に増やしていくことが大切です。

練習の中でランニングとトレーニングが組み込まれている場合については、はっきりと優先順位をつけることも必要となってくるでしょう。この場合は先に行うものを強化種目ととらえ、後で行うものについては「刺激を入れる」「出来るところまで行う」チャレンジ種目となります。前半にランニングを行うのであれば、後半のトレーニングでは下肢筋力強化というよりも筋力維持することがまず目標となります。そしてこの前半・後半は常に入れ替えをしながら行っていきましょう。すなわち前半でトレーニング、後半でランニングといった具合に強化種目とチャレンジ種目を入れ替えながら、それぞれの体力要素を強化していきます。後半でランニングを行うときは設定タイムの変更等、運動強度のコントロールを行うことが必要となるかもしれません。また前半と後半の間はできる限りインターバルを設け、補食などをとった上で行うようにすると体力的な回復も見込めるでしょう。

練習における総運動量については、時間的・場所的な制約やチーム状況、指導者の裁量などさまざまな要因があり、選手一人ひとりがコントロールするには難しいものですが、優先順位をつけることで「今日やるべきこと」が明確になります。時間は有限であり、やりたいこと、やるべきことは多くあると思いますが、オーバーワークによるケガは避けなければなりません。疲労回復のために必要なセルフコンディショニングを日々実践しながら、体力的な土台を大きくするためにフィジカル面の強化にも取り組んでいきましょう。

【ランニングと下肢トレーニング】
●ランニングは種目によって鍛えられる体力要素が違う
●オフシーズンに行うランニングの主な目的は心肺持久力(スタミナ)や筋持久力の強化
●ウエイトを使ったトレーニングは筋肥大、筋力向上、パワーを養うことにつながる
●ランニングとトレーニングではターゲットとなる体力要素が違う
●優先順位をつけ、前半に行うものを「強化種目」、後半に行うものを「チャレンジ種目」とする
●前後半を入れ替えながらそれぞれの体力要素を鍛えていこう

文:西村 典子
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この記事の執筆者: 西村 典子

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