【九州】唐津商に新星現る! 1年エース・木本が興南を完封〈秋季地区大会〉
木本 夢翔(唐津商)
<秋季九州地区高校野球大会:唐津商1-0興南>◇29日◇1回戦◇小郡
新星がすい星のごとく現れた。唐津商(佐賀)の先発、木本 夢翔投手(1年)が、甲子園で春夏連覇を成し遂げたことがある沖縄の名門・興南を106球の5安打完封する快投を見せた。興南(沖縄)の先発は背番号1の左腕、田崎 颯士投手(2年)、唐津商の先発は今大会から背番号1をつけたばかりの1年生右腕・木本。やや細身の両投手が、好ゲームを演出した。
両投手がスコアボードに0を並べて迎えた8回、唐津商が三盗をしかけ、捕手の悪送球を誘った形で1点を先制。その1点を1年生右腕が守り切った。
木本は最速135キロの直球と、スライダー、チェンジアップを駆使して、興南打線に立ち向かった。1回、先頭打者にいきなり安打を許したが、後続を断つと、スイスイと投げ込んで、興南に思うような打撃をさせなかった。3者凡退は2回と6回だけだったが、三振がわずか1の打たせて取る投球。興南の打者はことごとく差し込まれているようだった。木本は「内角を投げる練習をしてきた」と振り返り、知念洋之監督は「マウンドの傾斜をうまく使うように指導してきた。体の柔軟性を失わないようにフォームを作った」と説明。木本のフォームはタイミングが取りづらく、興南打線は凡打の山を築いた。
知念監督も興南打線を研究していた。「興南の打線は初球の甘い変化球を積極的に打っていたので、初球はほとんど直球でいかせた。捕手もうまくリードしていた」と松尾 優太捕手(2年)の配球を称えた。木本は佐賀大会では背番号11だったが、知念監督が「投球だけでなく、粘り強さ、けん制のうまさ、フィールディングの上手さなど、1年生らしからぬところもあり背番号1をつけさせた。今日の勝利は木本がすべてです」と目を細めた。木本も「すべての球種が調子よかった。気持ちで負けないように投げました」とあどけなさの残る表情で白い歯を浮かべた。
興南の田崎は、切れのある直球と変化球のコンビネーションで、唐津商打線を5安打8奪三振の1失点に抑えた。ミスで与えた1失点で、打たれたわけではなかった。この悔しさを胸に、冬を乗り越え、一段と大きくなった田崎に期待したい。