試合レポート

【岐阜】決勝 岐阜第一 vs 県立岐阜商

2023.09.25


岐阜第一が8回に県立岐阜商を逆転して、23年ぶりに県大会優勝を果たす

<第76回秋季岐阜県高校野球大会:岐阜第一4-3県立岐阜商>◇24日◇決勝◇長良川

この秋、23年ぶり6度目の優勝を目指す岐阜第一と、3年ぶり24度目の優勝を目指す県立岐阜商との強豪対決の決勝となった。

岐阜第一は今大会は大垣東多治見工東農実と撃破して、準々決勝では夏の準優勝校の市立岐阜商を下してきた。そして、前日の準決勝では、中京を終盤で突き放して2年ぶり7回目となる東海大会進出を決めた。

県立岐阜商は、夏は準決勝で岐阜商対決となった市立岐阜商との対戦に敗れて甲子園出場を逃した。それでも、夏から多くのメンバーが残ったということもあって、この秋へ向けて、前評判も高いチームに仕上がっている。県大会では初戦で岐阜を下すと岐阜聖徳学園にも快勝。そして前日の準決勝では関商工に5回コールド勝ちして3年ぶり37回目の東海大会進出を決めて力のあるところを示した。

県立岐阜商は初回、経験値の高い森投手が相手打線を簡単に3者凡退で抑えると、その裏、一気に集中攻撃する。1番・寺前が内野安打で出ると、日比野のバントが悪送球を呼んで労せずして無死二、三塁。ここで垣津が左翼線に二塁打して二者をかえす。さらに、4番・加納も左前打で、二塁走者がかえり、無死のまま3点を奪った。この県立岐阜商の攻撃を見ていたら、果たして何点入るのだろうか…? とさえ思わせた。ただ、そこから、岐阜第一の先発・水野投手は本来の自分の投球を取り戻して、続く3人は すべて飛球で打ち取った。ここから、水野投手はしっかりとペースを作っていかれるようになった。

「初回の様子やったら、いつ代えてもおかしくない状況やったんだけれども、よく立ち直ってくれた」と、田所孝二監督が言うように、危なっかしい立ち上がりの投球だったが、立ち直りも早かった。1死を奪ってからは、本来の投球というか、上手に打たせていく投球ができていた。

そして、早い回で点差を詰めておきたい岐阜第一は3回、この日は8番に入っている水野が左前打で出ると、バントで進み、2死となってから上農、酒井、阪口の3連打で2点をかえした。3回で1点差としたのも、その後の試合展開としては大きかった。

以降は、水野と森の投手戦というか、お互いの粘り合いという展開で、走者を出しつつも、よくこらえていた。流れとしても、どちらに傾いているというでもない互角の内容だった。ただ、1点負けている岐阜第一としては、どこかで突破口が欲しいというところだった。7回は無死で、振り逃げからチャンスを作り、代打・永安の安打などで三塁まで進めて、上位打線というところだったが、ここは森に抑えられた。

終盤になって、このまま県立岐阜商が逃げ切ってしまうのかなという流れにもなってきたのだけれども8回、2死走者なしから岐阜第一が幸運な逆転をする。

6番・山口の飛球は相手失策を招いて一気に三塁まで進んだ。灰谷の四球で一、三塁となったところで、ショートバウンドの球を捕手が前にはじいてしまってファウルグラウンドこぼれたのだが、それを見て三塁走者の山口が同点のホームを陥れる。田所監督も、「三塁走者が山口でよかった。アイツ足も一番早いし、スイッチが入ったらイケイケなんでね…(苦笑)」と言うように、わずかな相手失策から勢いで奪った同点劇だった。さらに、2死二塁という場面で水野投手自らが左前に落として二塁走者がかえって逆転となった。

そして、水野が8回は先頭に安打されるも、これまで通りにしっかりと投げ、9回も1死から四球こそ与えたものの、危なげなく抑えて、岐阜第一としては見事な逆転勝利で、23年ぶりの優勝となった。

岐阜第一は水野投手ら1年生が41人、2年生も30人という大所帯。そんな中で、メンバーにも1年生が多く名を連ねている。多くの中で選手たちが切磋琢磨しながらも「ワンチーム」という意識でまとまってきているという。それが、今回の結果となったといってもいいであろう。田所監督も、「3点取られた段階で、(センバツの)選考のことも考えたらボロ負けはあかんで…、と思っていたんですけれども、2回からは水野もしっかり投げて、試合も落ち着いてきて思っていた通りの展開になったんだけれども、運よく逆転できました」と、喜んだ。

県立岐阜商としては初回、あまりにもいい形で点が入ったのだが、その後が立ち直った水野を攻略しきれなかった。森は鍛治舎巧監督の期待に応えた力投だったのではないだろうか。また、各打者も追い込まれてからは、鍛治舎監督の推奨するノーステップ打法に切り替えるなど、喰らいつく姿勢を示していたが、あと1歩流れを呼び込めなかった。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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