試合レポート

【埼玉】1回戦 大宮南 vs 川口青陵

2023.09.07


両者互角の一戦、大宮南が川口青陵を逆転サヨナラで破り初戦突破!

<秋季高校野球埼玉県大会地区予選:大宮南8ー7川口青陵>◇6日◇1回戦◇浦和市営

午後から雨が降る予報の中、始まった浦和市営球場の第2試合は大宮南 vs 川口青陵の一戦である。

旧チームは旋風を巻き起こした大宮南であったが、新チームとなり当時のメンバーがごっそりと抜け、さらに主力の2年生に体調不良者が3人出たため、スタメン7人が1年生という若い布陣。一方の川口青陵も、夏は昌平を苦しめるなどインパクトは残したが、当時のスタメンは尾崎 海斗(1年)と龍福 賢二(2年)のみでクリーンアップ以外6人は全て1年生という互いにフレッシュな対戦となる。

先発は川口青陵が背番号11の1年生・石井 蒼人、一方の大宮南は背番号4の1年生・安川 悠真が登板し、試合が始まる。

先制したのは大宮南であった。

大宮南は初回、川口青陵・石井の立ち上がりを攻め、先頭の菊池 優真(2年)が中前安打を放ち出塁すると、すぐさま二盗を決め無死二塁とする。さらに暴投で菊池は三塁へ進むと、続く島田 一翔(1年)の内野ゴロで本塁に生還し大宮南が幸先良く1点を先制する。

一方、川口青陵もすぐに反撃を開始する。

川口青陵は2回、この回先頭の龍福が四球を選び出塁すると、1死後、6番・岡元 陽路(1年)も四球を選び1死一、二塁とする。ここで続く荒井 大陸(1年)が左前適時打を放ちまず1点。8番・石井も左前適時打を放ちすぐに逆転すると、さらに9番・清水 太陽(1年)もセーフティーバントを決め1死満塁とし、続く尾崎が左前適時打を放ち3対1とする。

大宮南ベンチはたまらず、先発・安川からエース今井 将動(2年)にスイッチする。

だが、川口青陵は今井の代わり端を攻め、2番・鈴木 恵太(1年)が右前適時打を放つなど、結局この回一挙4点を奪い逆転に成功する。

逆転を許した大宮南もその裏、この回先頭の黒田 遼(1年)が中前安打を放ち出塁すると、続く中嶋 祥汰(1年)がセーフティーバントを決め無死一、二塁とする。さらに7番・長澤 廉之介(1年)の犠打も相手の野選を呼び、無死満塁とチャンスが広がる。ここで続く今井がスクイズを決めまず1点。さらに9番・川島 大和(1年)が右前適時打を放つと、1死一、三塁から続く菊池を迎え、大宮南ベンチは一走とのエンドランを仕掛ける。これが二塁強襲の適時打となり同点。さらに続く島田のところでも一走とのエンドランを仕掛ける。これが相手のタイムリーエラーを誘うなど、この回一挙4点を奪った大宮南が一気に5対4と逆転に成功する。

3回以降は、やや試合が落ち着き5対4のまま試合は後半へと進む。

次の1点をどちらが奪うかが注目されたが、迎えた6回、大宮南は4回からリリーフした川口青陵の2番手・緒方 駿仁(1年)に対し、この回先頭の今井が遊撃手への内野安打で出塁すると、続く川島の内野ゴロで1死二塁とするが、1番・菊池のところで二走・今井が三盗に失敗してしまう。それでも菊池が四球を選び再度チャンスメークすると、すぐさま二盗を決め2死二塁とする。ここで続く島田が左前適時打を放ち6対4とする。さらに島田もいいスタートで二盗を狙ったが、3番・安川が打ってしまい凡退し1点でこの回の攻撃を終える。

すると川口青陵もすぐに反撃を開始する。

川口青陵は7回、この回先頭の緒方が左前安打を放ち出塁すると、続く清水がきっちりと送り1死二塁とする。さらに1番・尾崎も四球を選び1死一、二塁とチャンスを広げると、2死後、3番・栗原 侑希(2年)の打球は右翼線へ飛ぶ。これに右翼手が飛び込むが1歩及ばず2点適時三塁打となり6対6の同点、さらに続く龍福も左前適時打を放ち一気に逆転に成功する。

その後、大宮南打線がやや淡白になったこともあり、試合はこのまま終わるかと思われたが、最終回にもう一山残っていた。

大宮南は9回裏、先頭の菊池が四球で出塁すると、続く島田がきっちりと送り1死二塁とする。ここで3番・安川の打球は二塁へのライナーで万事休すかと思われたが、これを二塁手が弾いて強襲安打となり1死一、三塁とすると、4番・中川 星汰(2年)の打球は右翼線へ、7回表の川口青陵・栗原の打球と同じようなところに飛ぶ。右翼手がこれに飛びつくも1歩及ばず、後ろに逸らす間に一走・安川も本塁生還する。

結局、大宮南が土壇場で逆転サヨナラ、8対7で勝利し初戦を突破した。

7回に逆転し流れは川口青陵かと思われたが、最後に思わぬ落とし穴が待ち構えていた。「投手陣はよく投げていた。最後の場面は7回にうちが同点としたライト線への打球と同じような打球が来て、うちも相手と同じような対応をしてしまった。タイブレークになればうちに勝機があると思っていて、1点はOKと言っていたんですが、外野まで話が通っていなかったかなと。そもそも最終回、最初にマウンドに集まった場面も普段ああいうことやっていないのに格好をつけているのかなと。案の定、変な間が開いてピッチャーにプレッシャーがかかり四球になってしまった」と、橋本監督は、最終回の対応を悔やみつつも全体のレベルアップを促していた。とはいえ、まだまだ新チームを結成し間も無く1年生が多い若いチームだ。それでも夏の経験者、龍福や尾崎を中心に2ケタ安打を放ち2回、7回と集中打も出ている。あとは試合の終わらせ方が今後への課題か。

一方の大宮南は、157センチの小さな大エース・今井が良く投げた。「粘ることが大事と言っていたので良くやってくれた。最終回は同点では延長でダメだと思っていたので、より攻撃的に行きました。急造の布陣で代わりの選手もよく頑張った。夏休みは4勝28敗と練習試合で負けまくったんですが、小技をテーマでやってきたのがここで出たかなと。ただ、7回の場面、同点はOKなのに飛び込んでしまい、走らなくていいところで走ってしまった場面もあった。2年生の体調不良者が出て今日は1年生が多く経験させなければいけないので、ダメなものはダメって言っておきました。時間はかかりますが、2年生が5人しかいないので、まず彼らを一本立ちさせること。浦和学院戦は全国レベルを体感し今後に活かしたい」と蓜島監督も、結果に安堵も反省しきり。この日は珍しく7回終了後、給水タイム時にゲキを飛ばすなどチームに奮起を促したのが功を奏した。

「夏休み当初は負けが続いて辛かったですが、終盤くらいからチームのルールを徹底できるようになってきて、試合も競った試合ができるようになった。浦和学院は守備でリズムを作って挑む気持ちでぶつかりたい」
と、サヨナラ打の中川も自分達の現在地を確かめるため、全力で次戦の浦和学院戦に臨む。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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