試合レポート

【甲子園】3回戦 創成館 vs 沖縄尚学

2023.08.17


エースの貫禄で8強導く、沖縄尚学・東恩納が1失点完投

<第105回全国高校野球選手権記念大会:沖縄尚学5ー1創成館>◇16日◇3回戦◇甲子園

 投げるたびに成長しているようだ。沖縄尚学(沖縄)の東恩納 蒼投手(3年)が、粘りのある創成館(長崎)打線を相手に1失点完投勝利。走塁を含めた緻密な攻撃が得意なチームを相手に、貫禄の投球を見せた。

 この夏、無失点でこの試合を迎えていた。沖縄大会から、甲子園の初戦(いなべ総合戦)まで40.1イニング連続で点を取られていなかった。なんとか1点を取れば流れが変わると攻撃を狙った創成館打線を返り討ちにした。

 圧倒的な投球ではなかった。三者凡退に打ち取ったのは3回、7回、9回の3イニングだけ。8安打もされ、ピンチを背負う投球でもあった。しかしホームは踏ませない。ここというときに自慢の140キロ超の直球と、キレのいいスライダーを外角低めに集めた。さらに、100キロ程度の緩いカーブも時折交ぜて緩急をつけた。27アウト中、半分以上の14個の内野ゴロを並べ、タイミングを外す投球も見せた。

 味方打線も1点が取れず苦しむなか、エースとして先に点を取られるわけにはいかなかった。7回まではゼロを並べ、この夏47.1イニング連続無失点を続けた。しかし5対0とリードした8回に、ついにこの夏初失点の1点を失った。それでも慌てることもなく、動揺することもなく9回までの打者4人を淡々と打ち取った。エースとして多くの経験を重ねてきた自信と余裕が、エースをさらに大きくさせている。

 沖縄尚学はセンバツ2度の優勝経験はあるが、夏は2014年の8強が最高成績。その8強に9年ぶりに進んだ。初の夏4強、そしてまだ手にしていない深紅の大優勝旗を手にするまで、東恩納は右腕を振り続ける。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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