仙台育英vs仙台商
仙台育英が春4連覇達成!センバツで悔し涙の左腕が成長示す7回1安打13K快投
7回1安打13奪三振1失点と好投した仙台育英・田中優飛
<春季高校野球宮城県大会:仙台育英7-1仙台商>◇28日◇決勝◇石巻市民
仙台育英が決勝で仙台商を下し、春の県大会4連覇を達成した。打線は1点を先制された直後の2回に湯浅 桜翼内野手(2年)、尾形 樹人捕手(3年)の適時打などで3点を奪い逆転。その後も小刻みに加点し、リードを広げた。投げては先発左腕・田中 優飛投手(3年)が7回1安打13奪三振1失点と快投すると、8、9回は同じく左腕の仁田 陽翔投手(3年)が0に抑え試合を締めた。
田中は力のある直球と多彩な変化球を駆使し、先制を許した2回以外はほぼ完璧な投球を披露した。決勝の先発登板が内定したのは県大会が開幕した直後。「自分ができることは短期間で大きく変わるものではない。自分のできることを最大限出すためにどんな練習をしたらいいか考えてきた」。この日に照準を合わせ、毎日の練習に取り組んだ。
今春のセンバツで味わった悔しさが、原動力になっている。報徳学園(兵庫)との準々決勝、8回から登板した田中はタイブレークの延長10回、痛恨のサヨナラ打を浴びた。試合後、しばらく涙が止まらなかった。
田中はセンバツの登板を「球の強さと変化球のキレがあれば抑えられたというのが一番の結論。最後の1球も球の精度がもう一段階高ければ、空振りや内野フライを取れた」と分析する。そしてセンバツ後、球の精度を上げることに全力を注いできた。
試行錯誤を続ける中で、入学当初から慕っている2学年上の先輩・伊藤 樹投手(現早稲田大2年)に自身の投球を撮影した動画を送り、アドバイスをもらうことも。頼れる先輩からフォームの再現性を高くすることの大切さや腕の使い方を学んだことで、センバツから約2カ月間に直球の平均球速が上昇。得意球のスライダーもスピード、曲がり幅ともに向上した。
決勝では進化を証明する好投をやってのけ、須江航監督に「4、5月で一番成長したピッチャー。ゲームをつくることのできる左ピッチャーの存在は大きい」と言わしめた。聖地で流した涙は、着実に成長の糧になっている。
仙台育英は今大会4試合で計26得点、4失点と盤石の勝ち上がりで頂点に立った。夏の前哨戦とも言える東北大会で、夏甲子園連覇に向け弾みをつける戦いを期待したい。
仙台商は投打がかみ合わず、完敗を喫した。ただ須江監督が「(仙台商は)勝負事に対して緻密に準備をしてくるチーム。次対戦した時に同じような試合展開になることはないだろうし、いろいろな引出しをまだ持っている」と話すように、今大会は強豪・東北を破るなど準優勝校にふさわしい戦いぶりだった。16年ぶりに出場する東北大会でも、「仙商」の底力を見せつける。
(取材=川浪康太郎)